神田裕行の美しい料理

日本で初めて『ミシュランガイド東京』(2008年版)が刊行されて以来、17年連続で三つ星を獲得している「日本料理かんだ」の神田裕行さん。その神田さんの料理哲学をまとめた書籍『真味不唯淡』が、5月10日に発行予定だ。本誌で約5年にわたり連載した椀と旬の料理、そして米料理を120点以上の写真で構成した料理写真集となっている。

Photo Masahiro Goda  Text Nile’s NILE

日本で初めて『ミシュランガイド東京』(2008年版)が刊行されて以来、17年連続で三つ星を獲得している「日本料理かんだ」の神田裕行さん。その神田さんの料理哲学をまとめた書籍『真味不唯淡』が、5月10日に発行予定だ。本誌で約5年にわたり連載した椀と旬の料理、そして米料理を120点以上の写真で構成した料理写真集となっている。

(左)山菜沢煮椀(中央)猪のみぞれ汁(2013年3月号より)(右)松葉がに松茸和え(2015年12月号より)

AI(人工知能)が医療や科学技術分野などで目覚ましい発展を遂げる現代において、「料理だけは人間にしか成し得ない作業となるだろう。しかしそれは“調理”と“料理”をハッキリと区別して進む道の先にある。古臭い言葉をあえて使うならば、『料理は愛情の産物である』ということだ。思いやりと気遣い。『おいしい』と言ってほしいと願う切ない気持ち。その心を今日も明日も持ち続けることこそが我ら料理人にとって最も大事な才能だ」

現代のAIが医療や科学技術分野で進展する中、「料理」は人間にしかできない作業であり続ける。しかし、その差別化は「調理」と「料理」の明確な区別にある。古くはあるが、「料理は愛情の産物である」。思いやりと気遣いが込められ、食べ手に喜んでもらいたいという切なる思いがある。その情熱こそ、料理人にとって最も重要な才能だ。

神田さんの美しい料理の世界を知ることは、日本人のDNAに刻み込まれている日本料理のおいしさを肌で感じることだろう。

そして、南北に長くさまざまな環境を持つ日本独自の多様性を理解できるに違いない。

神田裕行の美しい料理、日本料理かんだ
伊勢海老の空揚げ 柚子塩(2016年11月号より)

神田裕行の『真味不唯淡』

神田裕行さんの料理哲学をまとめた書籍『真味不唯淡』は、椀と旬の料理、そして米料理を120点以上の写真で構成した料理写真集。
神田裕行著/ 2024年5月10日発行予定/定価16,000円/ 216ページ/ハードカバー/A4変形/ Table&Company発行

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。