未来へと向かう飽くなき進化

1856年、妻のマリー・ぺルゴとともに時計工房を開き、ジラール・ぺルゴの礎を築いた時計師、コンスタン・ジラール。その大きな業績というべき、三つの水平なブリッジを持つトゥールビヨン搭載懐中時計へのオマージュとともに、現代的に再解釈した「ブリッジコレクション」に、意欲的な二つの新作が加わった。

Photo Takehiro Hiramatsu (digni)  Text Yasushi Matsuami

1856年、妻のマリー・ぺルゴとともに時計工房を開き、ジラール・ぺルゴの礎を築いた時計師、コンスタン・ジラール。その大きな業績というべき、三つの水平なブリッジを持つトゥールビヨン搭載懐中時計へのオマージュとともに、現代的に再解釈した「ブリッジコレクション」に、意欲的な二つの新作が加わった。

卓越した技術で精度追求に生涯を捧げた時計師、コンスタン・ジラール。彼が7年を費やして1867年に完成させたスリー ブリッジ トゥールビヨン懐中時計は、時計史に刻まれる大きな業績だ。
この労作は、同年ヌーシャテル天文台での精度コンテストで1等を獲得、その後17年間、他の追随を許さなかった。さらに89年には、パリ万国博覧会で金賞の栄誉に輝く。以降、スリー ブリッジはメゾンを象徴する存在となる。

ジラール・ぺルゴ(以下GP)はこの歴史的なアイコンにオマージュを捧げ、2014年に「ブリッジ コレクション」を発表した。伝統と革新を融合させたこのコレクションに新作が加わった。

「ネオ コンスタントエスケープメント」

未来へと向かう飽くなき進化、ジラール・ペルゴ
1時30分と10時30分位置に二つの香箱を配し、メゾンのDNAというべき三つのブリッジを備えたシンメトリーな造形が目を引く。スケルトナイズされた調速脱進機構にセットされた、チョウを思わせる形状の紫に輝くシリコン製パーツの中央に、髪の毛の6分の1の細さのブレードが走り、これが一定の動力伝達を担う。他に類を見ない精緻な動きもこの時計の大きな魅力だ。
「ネオ コンスタント エスケープメント」手巻き、ケース径45㎜、チタンケース×ラバーストラップ、3気圧防水、13,101,000円。

シリコン製のブレードを使用してテンプの振幅を安定させ、精度向上を図る独自の調速脱進機構を搭載。
エピソードによれば、時計師が電車の切符の動きから着想を得たという。このモデルは2013年のジュネーブウォッチグランプリで「金の針賞」を受賞した。「ネオ コンスタント エスケープメント」は前作をブラッシュアップし、サイズをダウンさせつつ合理性と信頼性を向上させた。

「ネオ ブリッジ アストンマーティン エディション」

未来へと向かう飽くなき進化、ジラール・ペルゴ
10時30分位置にマイクロローター、1時30分位置に香箱、6時位置にテンプをシンメトリーに配置。サファイアケースバックにはアストンマーティンのロゴマークが入る。印象的なブリッジを始め、ミニッツマーカーやストラップのステッチにも、アストンマーティンのコーポレートカラーであるブリティッシュグリーンをあしらった。
「ネオ ブリッジ アストンマーティン エディション」自動巻き、ケース径45㎜、DLCチタンケース×ラバーストラップ、3気圧防水、限定250本、4,961,000円。

こちらはアストンマーティンとのコラボ第5作。
デザイナーとエンジニアが共同作業し、シンメトリーでグリーンを印象的に使用したアストンマーティンを称える作品だ。これら2つのモデルは、伝統を尊重しながらも未来への進化を体現したGPのスタンスを物語っている。

●ソーウインドジャパン
TEL 03-5211-1791

ラグジュアリーとは何か?

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