茶馬古道は中国雲南省普洱(ふじ)から北チベットまで、主にお茶を運んだ2000㎞におよぶ道だ。
10世紀に始まり、通商隊が中国皇帝からのお茶をチベット王室に、逆に薬や戦闘馬を運んだ。古道は馬で荷を運ぶことに由来し、5000m級の峠を越える厳しい旅路で普洱(プーアル)茶は風味が増した。
商人とラマ僧が参加し、多様な文化交流が生まれたが、1912年の中華民国成立で古道は廃れた。しかし、ヒマラヤへの探検隊の興味は続き、ジェームズ・ヒルトンの小説『失われた地平線』が憧れを呼び起こした。20世紀初頭には危険な地域でも探検隊がヒマラヤに挑み、豪華なコロニアルスタイルの旅を楽しんだ。
文化大革命でキャラバンは終焉を迎えたが、2002年に雲南省中甸(ちゅうでん)が「シャングリラ(香格里拉)」に改名され、茶馬古道の再開が始まった。シャングリラを拠点にした贅沢なキャラバンツアーが誕生し、モエヘネシー社が「アオユン」と呼ばれる桃源郷高級赤ワインを開発。フランス人コミュニティーも形成され、歴史的な古道が再び注目を浴びている。