初のアナログ式光発電腕時計を1976年に開発して以来、シチズンは、この分野のリーダーカンパニーとして、独自の光発電駆動技術「エコ・ドライブ」を進化・熟成させてきた。その40周年の節目となる2016年に発表した「エコ・ドライブ ワン」は、世界中の時計関係者の間に驚きと称賛を巻き起こした。
搭載されたキャリバー8826の厚さは、わずか1㎜。この極薄の世界に85ものパーツが緻ち 密みつに組み込まれた。23年11月現在、アナログ式光発電ムーブメントとしての世界最薄記録を破る者は出てきていない。
あの衝撃的なデビュー以降、「エコ・ドライブ ワン」は秒針の追加や文字板に土佐和紙を採用するなど、薄さだけではない快適性や審美性の進化も遂げてきた。そして今回、6時位置にスモールセコンドを備え、魅惑的なカラーをまとった限定バージョンがベールを脱いだ。
一つは文字板にミッドナイトブルーを採用した「AQ5012-14L」。深みのあるクールな色調が、スーツスタイルを格上げし、フォーマル感のある装いにもフィットする。もう一つはバーガンディをフィーチャーした「AQ5012-14W」。抑制の効いた渋さや知的さの中に、確かな主張も感じさせる。2タイプともにワニ革ベルトも同色で統一され、エレガントなつややかさが際立つ。
文字板を見ると、センター部分にはクルドパリタイプのパターンをあしらい、その外周のサークル部分は放射状に光を放ち、スモールセコンド部分はサンレイ仕上げとするなど、部位ごとの異なる表情が、立体感に富んだ魅力を奏でている。
バランスを考慮し、やや短めとしたインデックスは、繊細なラインやファセット面による複雑な構成を持ち、シャープな輝きを放つ。時分針には、鏡面仕上げと砂地つや消し仕上げの二つの処理を施し、どんな角度からでも時刻を読み取りやすくした。ガラスコーティング技術「クラリティ・コーティング」も、視認性の向上に寄与している。
控えめな直径36.6㎜のケースには、独自の表面硬化処理技術デュラテクトピンクが施された。プレステージ感のあるピンクゴールドカラーに加え、耐傷性も高く実用面にも配慮が行き届く。シンプルなフォルムでありつつも、ケース側面に柔和な曲面を取り入れ、ケースバックも手首にフィットしやすいようエルゴノミックなカーブを描く。
搭載するキャリバー8845は、16年に発表された2針仕様のキャリバー8826をベースに部品を四つ追加し89パーツとしながらも、厚さは1㎜をキープ。ケースの厚さは4.5㎜。究極の薄さ以上に、時計としてのオーセンティックさや品格あるたたずまいを意識した。もちろんシャツの袖にもスマートに収まり、肌と一体となったかのような装着感を味わうことができる。 高い技術力に裏付けられた「エコ・ドライブ ワン スモールセコンド」。その美と快適性を、自身の手首で確かめてみたい。
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シチズンお客様時計相談室
TEL 0120-78-4807
※『Nile’s NILE』2024年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています