「山の鳥取」が生む食の絶品

鳥取の食材というとカニなどの海の幸のイメージが強いが、南部に連なる山間部でも魅力的な品々が多数作られている。清冽な水、澄んだ空気、深い山林。こうした自然条件と、情熱ある生産者がかけ合わさり、新しい絶品が次々と生まれているのだ。今回は「食パラダイス鳥取県」の中から、わさび、えごま油、しいたけ、米、ジビエを紹介する。

Photo Masahiro Goda Text Izumi Shibata

鳥取の食材というとカニなどの海の幸のイメージが強いが、南部に連なる山間部でも魅力的な品々が多数作られている。清冽な水、澄んだ空気、深い山林。こうした自然条件と、情熱ある生産者がかけ合わさり、新しい絶品が次々と生まれているのだ。今回は「食パラダイス鳥取県」の中から、わさび、えごま油、しいたけ、米、ジビエを紹介する。

わかさ29工房

鳥取県、わかさ29工房。地元の猟師たちが捕獲後、上質な耳ジビエへと処理される
わかさ29工房
害獣として駆除される鹿やイノシシは全国的には破棄されることが多いが、こちらでは「命をいただく」姿勢で上質なジビエへと処理。地元の猟師たちが獲物を仕留めた後、短時間で工房に持ち込む。それを速やかに処理し上質なジビエとする。

同じ若桜町にあるわかさ29工房は、近辺の猟師が仕留めた鹿、イノシシを処理し、ジビエとして全国に出荷する施設。この工房の責任者、河戸建樹さん(中央)は実父である河戸健さんが指定管理を受けているわかさ29工房の実務を父から引き継ぎ、都内や関西の有名レストランから注文を受けている。

ジビエは処理の手際でまったく仕上がりの質が異なるが、河戸さんは経験豊かで技術が高い。「いかに早く冷やすかが大事です。搬入された鹿やイノシシはすぐに解体、枝肉(皮、内臓、頭、四肢の先端を落とした状態)にして冷蔵庫へ。ここまでで50分以内です」。他の処理場と比べると非常にスピーディーである。

河戸さんのもとには、全国から「技術を身につけたい」と若者が訪れる。現スタッフ、今堀敦司さん(左)、間屋口陽平さん(右)もそう。河戸さんいわく、「自然から命をいただいたなら、それを生かしきるのが人間の役目。肉は最大においしく仕上げます。皮も角も地域の作家に渡し、工芸品にします」。全国からの注文の多さは、手掛ける肉の質はもちろん、河戸さんの姿勢への共感も含まれているに違いない。

鳥取県、わかさ29工房。ジビエ。脂身をそぎ落とした鹿のロース肉(左)と、もも肉
脂身をそぎ落とした鹿のロース肉(左)と、もも肉。おいしい肉は見た目も美しい。

※『Nile’s NILE』2023年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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