“畑の伝道師”が出会う鳥取

「トラットリア庭」の渡邉明さんは、日本の生産者を応援し続けるレジェンド。外食のシーンで野菜料理をメジャーに引き上げ、肉、魚の生産者とも信頼関係を築いてきた。そんな渡邉さんは鳥取食材と、とりわけ縁が深い。今回取材した生産者の手による品々で料理を2品作ってもらった。

Photo Masahiro Goda  Text Izumi Shibata

「トラットリア庭」の渡邉明さんは、日本の生産者を応援し続けるレジェンド。外食のシーンで野菜料理をメジャーに引き上げ、肉、魚の生産者とも信頼関係を築いてきた。そんな渡邉さんは鳥取食材と、とりわけ縁が深い。今回取材した生産者の手による品々で料理を2品作ってもらった。

トラットリア庭。柔らかく緻密な肉質の鹿ロース
柔らかく緻密な肉質の鹿ロース。舌触りよく厚みのある乾しいたけ。マデラ酒やフォン・ド・ボーで作る甘みと深みのあるソース。この三つが絡み合い、鳥取食材の魅力が最大限に表現される。

オリジナリティーがありながらも、ナチュラル。インパクトがありながらも気負わず、素材の滋養がスッと体に入る。
「トラットリア庭」は、そんな料理を求めるお客でいつもにぎわっている。

オーナーシェフの渡邉明さんは、野菜をこよなく愛する料理人。
長いキャリアの中でシェフとして、経営者として、野菜をメインに据えたレストランを成功させるなど、野菜料理の達人として活躍してきた。

渡邉さんはまた、20年以上前から全国の産地を歩き回り、志ある生産者たちと交流。渡邉さん自らも農作業を行い、イベントを企画するなど、生産者、産地を盛り上げてきた。
その姿はまさに渡邉さんの異名である「畑の伝道師」そのもの。
今は畜産、ジビエ、漁業の現場にも通い、「日本の生産者を応援し続ける」をモットーに掲げる。

そんな渡邉さんと鳥取食材の出会いは、「友人が鳥取の食材の卸を営んでいて、彼との縁から使うようになりました」と話す。渡邉さんは鳥取食材のフェアも過去に手掛けており、フェアで知り、使い続けている素材も多い。
「長芋の“ねばりっこ”は、うちに欠かせない素材。肉質が緻密でねばりが強いのが特徴で、いろいろな料理に使いますが、中でも“ネバリッコのカルボナーラ”は人気です」
そのほか大栄西瓜、大山ブロッコリー、大山柚子などもお気に入りの素材である。

畜産物では、鳥取和牛の名手である前田牧場の牛肉に特にほれ込む。また、ジビエの鹿、イノシシでも鳥取産のクオリティーを信頼。
渡邉さんは肉をテーマとした店も都内で2店舗手掛けるが、そこでも鳥取産の肉が活躍している。

柔らかく緻密な肉質の鹿ロース

さて今回渡邉さんが作ってくれたのは、鹿料理とホタテのリゾット。
鹿料理はわかさ29工房のロース肉、しいたつほだ場の乾しいたけを使用。甘みとうまみが一体となったソースを合わせた。
「鹿は、脂がのりきる時季の前なので、さっぱりとしたうまみが特徴。風味にしっかりとした奥行きのあるソースを合わせてバランスをとりました」。また「このしいたけの戻し汁は、うまみがマイルドなのがいい。ソースに加えています」

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ラグジュアリーとは何か?

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