記憶に残る美しい風景

まるで手の親指を日本海に突き出したような形をしている能登半島。三方を海に囲まれているため、陸から眺める海は果てしなく広がる。その海と独特な地形が織り成す風景は、実に美しく、実に能登らしい。豊かな自然、独自の風土や文化が色濃く残るこの地を、元日に大地震が襲った。これまでに本誌が取材した記憶に残る風景を紹介したい。

Photo Masahiro Goda  Text Nile’s NILE

まるで手の親指を日本海に突き出したような形をしている能登半島。三方を海に囲まれているため、陸から眺める海は果てしなく広がる。その海と独特な地形が織り成す風景は、実に美しく、実に能登らしい。豊かな自然、独自の風土や文化が色濃く残るこの地を、元日に大地震が襲った。これまでに本誌が取材した記憶に残る風景を紹介したい。

  • 特集能登半島、記憶に残る美しい風景、近江町市場 特集能登半島、記憶に残る美しい風景、近江町市場
    近江町市場
    地元では親しみを込め、近江町市場を「お」にアクセントをつけ「おみちょ」と呼ぶ。2009年に市場の一部はビルの中に入った。市場ビルの1階には鮮魚店、青果店などが軒を連ね、対面販売の声が響く。
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    (左)生産者に寄り添う北形青果。加賀野菜、県産野菜の品ぞろえが豊富だ。地元の料亭から厚い信頼を得ている。
    (右)以前の市場の雰囲気を残す青果通り口。近江町市場は四方に八つの入り口があり、鮮魚通りなどジャンル別に店が並ぶ。
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    (左)忠村水産の鮮魚売り場の一角。金沢には欠かせないノドグロを始め、高級魚キジハタや、大きなカサゴ、春が旬のサヨリ、マコガレイ、ナメタガレイなど高級魚ばかりが並ぶ。
    (右)1924(大正13)年創業の忠村水産は、高品質を誇る。市場内に一般向けの小売部とプロ向け業務部(卸)の2店舗がある。
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金沢を拠点に復興へ

前田利家が加賀百万石という栄華を極めた金沢には、その雅で優美な姿がそこかしこに残る。能登半島を手の親指に例えると、その付け根に位置するのが金沢だ。今回の地震で甚大な被害が出た奥能登を下支えしている。2月10日に輪島市などで受け入れが始まったボランティアは、金沢市内からバスで陸路を通う。また、珠洲市や能登町の中学生約140人が、金沢市内に集団避難中だ。

近江町市場には、例年の6割程度だというが観光客でにぎわう。施設の設備などに被害があった金沢21世紀美術館は、利用できないゾーンがあるものの開館中だ。

新年を祝う元日に起きた大地震に、言葉を失った人も多いだろう。これからは深刻な打撃を受けた地域を支えながら、復旧・復興に向けた具体的な支援をしていかなければならない。地震発生から1カ月以上が経つ今も、復旧が手付かずの地域もあれば、復興に向けて歩み始めている地域もある。そしてもう一つ、忘れてはいけないのは、被災地に心を寄せ続けるという“支援”ではないだろうか。

特集能登半島、記憶に残る美しい風景、金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館
金沢市の中心部、緑が多いエリアに位置する金沢21世紀美術館。斬新でありながら親しみの持てる外観。2004年オープン以来、金沢の観光スポットとして大人気。
特集能登半島、記憶に残る美しい風景、JR金沢駅
JR金沢駅
JR金沢駅東口は新幹線開業で名実ともに金沢の玄関となった。世界有数の美しさと評される駅の正面に立つ「鼓門」は、伝統芸能の鼓をイメージ。

※『Nile’s NILE』2024年3月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。