ランゲの神髄に酔いしれる

あまりにも精緻、あまりにも複雑、あまりにもパーフェクト―ドイツ・ザクセンの時計製造の歴史を受け継ぎ、さらなる高みを求め続けるウォッチブランド、A.ランゲ&ゾーネ。息をのむような数々の傑作コンプリケーションの存在は知っていても、実際手にすることはおろか、目にする機会さえ極めて限られている。

Photo Takehiro Hiramatsu(digni) Text Yasushi Matsuami

あまりにも精緻、あまりにも複雑、あまりにもパーフェクト―ドイツ・ザクセンの時計製造の歴史を受け継ぎ、さらなる高みを求め続けるウォッチブランド、A.ランゲ&ゾーネ。息をのむような数々の傑作コンプリケーションの存在は知っていても、実際手にすることはおろか、目にする機会さえ極めて限られている。

「ランゲ31」「トリプルスプリット」
(左)12時位置の12時間積算カウンター、4時位置の30分積算カウンター、センターの60秒カウンターの全てがラップタイム表示する世界で唯一のスプリットセコンド・クロノグラフ。8時位置にスモールセコンド、6時位置にはパワーリザーブ表示を搭載。「トリプルスプリット」手巻き、ケース径43.2mm、PGケース×アリゲーターストラップ、世界限定100本、20,240,000円。
(右)トルクを一定に保つため、ツインバレルと脱進機との中間に10秒ごとに巻き上げられる特殊なゼンマイシステムを設置。ルモントワールと呼ばれるこの動力制御機構の動きを、サファイアクリスタルバックから鑑賞できる。「ランゲ31」手巻き、ケース径45.9mm、PGケース×アリゲーターストラップ、18,304,000円。

「ランゲ31」は、31日間もの究極的な超ロングパワーリザーブを実現したモデル。通常の約10倍の長さに相当する1850mmもの自社製動力ゼンマイを収めた二つの大型香箱を搭載。大量のエネルギーを一定量ずつムーブメントに供給するための特殊な動力制御メカニズムも開発された。

シンプルでありながら、ロングパワーリザーブにふさわしい堂々たる風格を備え、ランゲを象徴するアウトサイズデイトも装備。付属の専用キーで、往年の懐中時計さながらゼンマイを巻き上げる行為も、時計と対話を楽しませてくれるだろう。

時、分、秒の全積算カウンターにおいて、ラップタイム表示を可能にした「トリプルスプリット」も、ランゲしか実現していない複雑機構である。

通常のスプリットセコンド・クロノグラフの場合、秒積算針のみがラップタイム計測できるようになっていることが多いが、これでさえ製作は極めて困難とされる。それを、60分計、12時間計の3つにまで拡張した。究極を志向するスタンス、そしてそれを実現させてしまう技術力には脱帽の思いを禁じ得ない。今年の新作としてピンクゴールドケースとブルー文字盤仕様としたエレガントな「トリプルスプリット」が発表され、改めてその魅力を際立たせている。

●A.ランゲ&ゾーネ
TEL 0120-23-1845

※『Nile’s NILE』2021年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。