朱夏の味わい、真っ赤なかき氷

楊逸さんが初めてかき氷を食べたのは、来日した1987年の夏、町内会のお祭りで食べたいちご味のかき氷。この日以来、「お祭り、浴衣、下駄、金魚すくい、かき氷」がワンセットで“朱夏の絵”を成し、まぶたに焼き付いているという。

Photo Satoru Seki  Text Junko Chiba

楊逸さんが初めてかき氷を食べたのは、来日した1987年の夏、町内会のお祭りで食べたいちご味のかき氷。この日以来、「お祭り、浴衣、下駄、金魚すくい、かき氷」がワンセットで“朱夏の絵”を成し、まぶたに焼き付いているという。

この日以来、楊さんの中では、「お祭り、浴衣、下駄、金魚すくい、かき氷」がワンセットで“朱夏の絵”を成し、まぶたに焼き付いているという。

「最近はあまり食べてません。子どもが『おいしいよ』と食べてる氷のアイスを一口、二口もらうくらいですね」

「私は単にシロップをかけただけのものではなく、“具だくさん”が好き。90年代半ばに台湾で食べた、氷・小豆・氷・白玉・氷を層状に積み上げ、甘さ控えめのシロップをとろりとかけた豪華なかき氷が、食べていて楽しくて、おいしくて、忘れられません」

楊さんは話すうち、かき氷に文学心が刺激されたのか、「いつかかき氷の出てくる作品を書きますよ」と笑顔で宣言してくれた。

小説家 楊逸氏

楊逸 やん・いー
1964年、中国ハルビン生まれ。幼少期には、文化大革命の下牧を経験する。20代の頃に来日。日本で働く傍ら小説を書き、2008年には、『時が滲む朝』で日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞する。著書に『ワンちゃん』『すき・やき』『おいしい中国「酸甜苦辣」の大陸』など。

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