自然と人をつなげる薪焼きの肉

旨い肉を食べたい時に訪れたいのが「タクボ」だ。食材と人を大切に、誠実かつシンプルに料理に向き合ってきたシェフの田窪大祐氏がたどり着いた、高温でカリカリ、ジューシーに焼き上げた薪(まき)焼きの肉は、リピーターが後を絶たない逸品だ。

Photo Masahiro Goda  Text Rie Nakajima

旨い肉を食べたい時に訪れたいのが「タクボ」だ。食材と人を大切に、誠実かつシンプルに料理に向き合ってきたシェフの田窪大祐氏がたどり着いた、高温でカリカリ、ジューシーに焼き上げた薪(まき)焼きの肉は、リピーターが後を絶たない逸品だ。

タクボ、十勝田くぼ牛の薪焼き
十勝田くぼ牛の薪焼き。サーロインにイギリス産の塩、マルドンを振りかけて提供する。付け合わせのニンジンは丸ごとアルミホイルにくるんで薪の熾火で約2時間焼いた。驚くほどみずみずしく濃厚な味わい。

心身を満たしてくれる料理

表面はカリカリだが、かむとジューシーな肉汁に口中が満たされる。柔らかく、肉の旨みが詰まった“十勝田くぼ牛”の薪焼きには、食べた瞬間に人をとりこにする魅力がある。

「原始時代から、火のあるところに人が集まってきたでしょう。目の前の火で焼きたての肉には、やはり力があるんだと思います」とオーナーシェフの田窪大祐氏は言う。

蓋(ふた)のない開放暖炉を使っているため、空気に触れさせながら木にストレスをかけずに熾火が作れる。うまく仕上がった熾火は、高温でもホカホカと穏やかで、肉を慈しむように焼き上げる。
火と肉にこだわったら、あとは愛をもって調理するだけ。気負わず、飾らず、率直な田窪氏の姿勢が、そのまま表れたストレートな味わいだ。

愛媛県今治市で生まれ、子どもの頃から料理好き。大阪の調理師専門学校に入り、在学中にイタリアンに目覚めた。最初は松山の店に勤めたが、本で見た日髙良実シェフの洗練された料理に愕然(がくぜん)とし、上京。田窪氏の料理哲学の9割を作ったのは、当時、広尾にあった「アロマフレスカ」のシェフ、原田慎次氏だ。

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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