LA DÉCIMA エクストリームの追求

2017年初夏、ラファエル・ナダルは、赤土のクレーコートを駆け巡り、世界中に大きな感動と驚愕、そして興奮をくれた。4月23日、モンテカルロ・マスターズ10度目の優勝。4月30日、バルセロナ・オープン10度目の優勝。そして、6月11日、全仏オープン“ローラン・ギャロス”で10度目の優勝。立て続けに3度ものラ・デシマを成し遂げたラファエル・ナダルの強さは、見る者を魅了してやまない。

Text Yukino Kano

2017年初夏、ラファエル・ナダルは、赤土のクレーコートを駆け巡り、世界中に大きな感動と驚愕、そして興奮をくれた。4月23日、モンテカルロ・マスターズ10度目の優勝。4月30日、バルセロナ・オープン10度目の優勝。そして、6月11日、全仏オープン“ローラン・ギャロス”で10度目の優勝。立て続けに3度ものラ・デシマを成し遂げたラファエル・ナダルの強さは、見る者を魅了してやまない。

時計界で究極を追い続けるリシャール・ミルが、そんなアスリートに魅了されたのは2008年。限界の先への情熱を持つ二人の男が出会い、2年後、RM027が誕生した。「君と時計を作りたい」というリシャールからの提案に、ラファは最初、難色を示したという。わずか1gの重みがプレーに影響するテニス。事実、それまでラファの手首に時計がはめられたことはなかった。リシャールは2年後、重さを感じさせない軽さ、抜群の装着感、そしてタフな試合条件下でも精度を極める、前代未聞のトゥールビヨンウオッチを捧げた。この年、ラファはRM027を相棒に、全仏、全英、全米の三つのトーナメントを制覇。その後5年にわたり全仏の優勝杯を、リシャール・ミルの時計をはめて掲げ続けた。そして今年、新作RM027-03を腕に、3年ぶり10度目の優勝を果たし、生きた伝説になった。

  • RM 27-01 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2013年) RM 27-01 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2013年)
    RM 27-01 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2013年) 
    手巻き、ケースサイズ45.98×38.90mm、カーボンナノチューブ配合コンポジット材ケース×ケブラー/ベルクロストラップ、世界限定50本、81,000,000円(生産終了)
  • RM 035 ラファエル・ナダル(2011年) RM 035 ラファエル・ナダル(2011年)
    RM 035 ラファエル・ナダル(2011年)
    手巻き、ケースサイズ48.00×39.70mm、アルミニウム2000+マグネシウムWE54ケース×ポリウレタンストラップ、11,772,000円(生産終了)
  • RM 027 トゥールビヨン ラファエル・ナダル RM 027 トゥールビヨン ラファエル・ナダル
    RM 027 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2010年)
    手巻き、ケースサイズ48.00×39.70mm、カーボンナノチューブ配合複合材ケース×ポリウレタンストラップ、世界限定50本、50,760,000円(生産終了)
  • RM 27-01 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2013年)
  • RM 035 ラファエル・ナダル(2011年)
  • RM 027 トゥールビヨン ラファエル・ナダル

2010年初夏。全仏オープンテニス開催中。会場内に設置されたリシャール・ミルのレセプションルームに、ラファエル・ナダルが登場した。集ったプレス関係者の視線は、彼の右腕に寄り添う、誕生したばかりのRM027に釘付け。と、おもむろにラファが時計を外して、こちらにポンと投げてよこした。相手は、精巧なトゥールビヨンを備えた超高級メカニカルウオッチ。慌てて出した手のひらに、羽のように軽いオブジェがふわりと舞い降りた。自分の重量感覚が狂ったかと感じる非現実的な軽さ。思わず目を近づけてのぞき込むと、透明なガラスの向こうに、トゥールビヨンが息づく実に美しく繊細なムーブメントがあった。

  • RM 35-02 オートマティック ラファエル・ナダル(2016年) RM 35-02 オートマティック ラファエル・ナダル(2016年)
    RM 35-02 オートマティック ラファエル・ナダル(2016年)
    自動巻き、ケースサイズ49.94×44.50mm、レッドクオーツTPT® +クオーツTPT® ケース×イエローケブラー/ベルクロストラップ、15,984,000円
  • RM27-02 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2015年) RM27-02 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2015年)
    RM27-02 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2015年)
    手巻き、ケースサイズ47.77×39.70mm、クオーツTPT® +カーボンTPT® ケース×オレンジケブラー/ベルクロストラップ、世界限定50本、95,040,000円(生産終了)
  • RM 35-01 ラファエル・ナダル(2014年) RM 35-01 ラファエル・ナダル(2014年)
    RM 35-01 ラファエル・ナダル(2014年)
    手巻き、ケースサイズ49.94×42.70mm、カーボンTPT® ケース、ラバーストラップ、
    13,284,000円
  • RM 35-02 オートマティック ラファエル・ナダル(2016年)
  • RM27-02 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2015年)
  • RM 35-01 ラファエル・ナダル(2014年)

エクストリームを追求するウオッチメーカーが、同じくエクストリームを追い続けるテニスプレーヤーと共に作り上げた、奇跡のウオッチ。タフなプレー中でも、精度を保持した耐久性と装着性を兼ね備えるという、常識的に考えたら実現不可能な取り組みに、リシャールはラファの協力を得つつ、2年をかけて取り組んだ。いくつかの試作品が、ラファのパワープレーの中でバラバラになったこともあった。航空宇宙産業やF1でも利用される密度2.55mg/cm3というリチウム合金でトゥールビヨン・ムーブメントの柔軟性と衝撃抵抗を高め、その究極の精度を弾性と強度を併せ持つカーボンコンポジットのケースで完璧に保護。裏ぶたとミドルケースを一体化し、本体わずか13gという信じがたい軽量化を実現。こうした取り組みを経て、時計史にその名を永遠に残すことになるRM027が誕生したのだ。

「コラボレーションとは、既存の時計をつけてもらい、一緒に写真を撮ることではない。オルロジュリーの未来のビジョンの糧となるものを二人で作りたかった。精度、性能、軽さにおけるエクストリームな追求という挑戦に、我々は挑み、そして勝ったのだ」(リシャール・ミル)

RM 27-03 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2017年)
RM 27-03 トゥールビヨン ラファエル・ナダル(2017年)
自社開発の1万Gの衝撃を吸収するモノコック地板や、クオーツTPT® が生み出す唯一無二の鮮やかな色など、最先端の技術を駆使して完成させた、究極の時計。手巻き、ケースサイズ47.77×40.30mm、クオーツTPT®+カーボンTPT®ケース×イエローコンフォートストラップ、世界限定50本、96,120,000円(予価)

その反響と評価はすさまじく、限定50本は即完売。2013年には、ケース内にサスペンションムーブメントという画期的な構造を備えたRM27-01が登場。2015年には、自社開発のカーボンTPT® を駆使し、ミドルケースと地板を完全一体化させ、さらなる剛性と耐衝撃性を強化したRM27-02を発表。そして、よりパワーを増すラファのテニスに共鳴するかのごとく、今年は、1万Gという驚異の衝撃からムーブメントを守る革新的なケースと、クオーツTPT® が生み出す、スペイン国旗を彷彿させる鮮やかな色合いのベゼルを備えた、最新作RM27-03が誕生。こちらも、発表段階で、世界限定50本は注文が殺到。その誕生と同時に幻のピースになった。並行して、トゥールビヨンを入れないRM035シリーズも2011年を皮切りに3本がリリースされた。

時計界きってのアバンギャルディストのリシャール・ミルと、世界最高峰のアスリートのラファエル・ナダルによる奇跡のウオッチ・シリーズ。エクストリームな作品集だ。

●リシャールミルジャパン
TEL 03-5807-8162

※『Nile’s NILE』2017年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。