Caravan Glamping on the Ancient Tea Horse Road

フランス人が率いるラバのキャラバンで行く、雲南省シャングリラからチベットの山岳に抜けるかつての茶の交易路。4000m級の峠、渓谷、川、村落、大草原を抜けるワイルドな旅は、ぜいたくなテントと料理に癒やされながら、ヒマラヤのドラマへ誘う。

Photo Constantin de Slizewicz  Text Koko Shinoda

フランス人が率いるラバのキャラバンで行く、雲南省シャングリラからチベットの山岳に抜けるかつての茶の交易路。4000m級の峠、渓谷、川、村落、大草原を抜けるワイルドな旅は、ぜいたくなテントと料理に癒やされながら、ヒマラヤのドラマへ誘う。

チベット特集
テントにもチベットの曼陀羅旗。お経が書かれ、旅の安全を守ってくれるという。携帯発電機で一段と明るいテントは闇のランタンのよう。ヒマラヤの夜は、風の音しかしない。

キャラバンの雰囲気を重視し、ビクトリアンアンティークの食器や備品を使用。シェフによるフレンチ風料理とワインが楽しめる。日本でも盛んなグランピングがヨーロッパで早くも1930年代に登場。富裕層の贅沢な旅行が特権とされた時代背景も影響している。

山の天候の急変にも耐え、高地に慣れて元気に歩き通す。目的地ではシェルパによるテントが迎え、アフタヌーンティーかアペリティフが楽しめる。シェルパが調達した食材でキャンプファイヤーを囲み、満天の星と標高のせいで酔う瞬間が特別。山の空気と闇が深い眠りに誘い、朝はヤクの鈴音で目覚める。

ヒマラヤのキャラバンの旅はシャングリラへのケルンに到達し、感謝を込めてケルンを時計回りに3周。風になびく曼陀羅(まんだら)旗のかなたに、シャングリラの松賛林(ソンツェリン)寺が幻のように現れた。

チベット特集
キャラバンの最高峰、標高4000mの峠。幸い天候に恵まれたが、雨や雪に見舞われることも。峠の前後には別世界があるという伝承は、桃源郷への期待だろうか。

※『Nile’s NILE』2024年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。