時空を超える衝撃

時代を超えて愛される普遍的なスタイルを生み出し、「モードの帝王」とたたえられたイヴ・サンローランの没後初となる日本での大回顧展が開催される。日本初公開のドレスなど110体のルックのほかドローイングや写真、映像などの貴重な資料から、その類いまれな人生と世界に衝撃を与えたクリエーションの全貌に迫る。

Text Rie Nakajima

時代を超えて愛される普遍的なスタイルを生み出し、「モードの帝王」とたたえられたイヴ・サンローランの没後初となる日本での大回顧展が開催される。日本初公開のドレスなど110体のルックのほかドローイングや写真、映像などの貴重な資料から、その類いまれな人生と世界に衝撃を与えたクリエーションの全貌に迫る。

  • イヴ・サンローラン、1967年セヴリーヌ・セリジーのドレス
    1967年
    セヴリーヌ・セリジーのドレス
    1967年に公開されたルイス・ブニュエル監督の映画『昼顔』のカトリーヌ・ドヌーヴのためのデザイン。
    ©Yves Saint Laurent ©Sophie Carre
  • イヴ・サンローラン、1968年春夏オートクチュールコレクション
    1968年
    ファースト・サファリ・ジャケット
    1968年春夏オートクチュールコレクション。
    ©Yves Saint Laurent ©Sophie Carre
  • イヴ・サンローラン、1968年秋冬オートクチュールコレクション
    1968年
    ジャンプスーツ
    1968年秋冬オートクチュールコレクション
    ©Yves Saint Laurent ©Sophie Carre

見どころは、ディオールでのデビューから「イヴ・サンローラン」でのキャリアのスタート、02年の引退まで40年余りのデザイナー人生を網羅したオートクチュールのルック110体。ジャンプスーツやサファリ・ルックなど、紳士服のカットの美しさや実用的な側面を残しつつ、女性らしいエレガントなシルエットを生み出し、時代に与えた衝撃と興奮を、展示を通して追体験することができる。

その作品は、織工や染色、刺繍、金細工などの熟練職人たちとの信頼関係によって実現されたものだ。厳格なまでの完璧主義者で、完成させるまでに数百時間をかけたといわれる作品は、見る者の五感に圧倒的な力をもって訴えかける。彼は優れた想像力によって、読書や美術作品の収集を通してアフリカやロシア、スペイン、アジアなどへ空想の旅に出かけ、そこで得たものを異国情緒あふれる極彩色のガウンやケープなどに反映させた。

  • イヴ・サンローラン、1977年に行われたジジ・ジャンメールのショー『ローラン・プティのショーに登場するジジ』のためのデザイン
    1977年
    ジャケット
    1977年に行われたジジ・ジャンメールのショー『ローラン・プティのショーに登場するジジ』のためのデザイン
    ©Yves Saint Laurent ©Sophie Carre
  • イヴ・サンローラン、1978年に行われた演劇『双頭の鷲』のジュヌヴィエーヴ・パージュのためのデザイン
    1978年
    女王のドレス(第1幕)
    1978年に行われた演劇『双頭の鷲』のジュヌヴィエーヴ・パージュのためのデザイン
    ©Yves Saint Laurent ©Sophie Carre
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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。