ラグジュアリースポーツの旗手

1791年創業というスイス時計界でも屈指の歴史を持ち、比類ない技術力でも知られる実力派マニュファクチュール、ジラール・ぺルゴ。そのラグジュアリースポーツコレクションとして注目を集めている「ロレアート」コレクションにスポットを当てる。

Photo Takehiro Hiramatsu(digni)  Text Yasushi Matsuami

1791年創業というスイス時計界でも屈指の歴史を持ち、比類ない技術力でも知られる実力派マニュファクチュール、ジラール・ぺルゴ。そのラグジュアリースポーツコレクションとして注目を集めている「ロレアート」コレクションにスポットを当てる。

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    クロムの含有量が高く、耐腐食性に優れた904Lスチールをケース&ブレスレットに採用。小さなピラミッド状のパターンが連なる“クル・ド・パリ”仕上げを施した“パンダ”タイプの文字盤も目を引く。自社製キャリバーGP03300搭載。「ロレアートクロノグラフ 42㎜」自動巻き、ケース径42㎜、SSケース×SSブレスレット、10気圧防水、2,442,000円。
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    樹脂を浸潤させたカーボンファイバーとチタンパウダーとを結合させた厚さ0.05㎜のシートを層状に重ね、加熱・超高圧処理を施し、切削、研磨を経て完成する先進的なケースを採用。個体ごとに異なる独特なパターンも魅力。スチールの5分の1の軽量ながら強靭。アバンギャルドな外観と快適な装着感を兼備。自社製キャリバーGP03300搭載。「ロレアート アブソルート クロノグラフ 8Tech」自動巻き、ケース径44㎜、カーボン/チタンコンポジットケース×ラバーストラップ、10気圧防水、3,520,000円。
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マニュファクチュール̶腕時計業界では、ムーブメントから文字盤、外装、仕上げに至るまで、自社内で一貫生産できるメゾンやファクトリーをこう呼ぶ。そんなマニュファクチュールの中でも、スイス屈指の歴史と卓越した技術力を誇るのがジラール・ぺルゴ(以下GP)である。メゾンを象徴するスリー・ゴールドブリッジ付きトゥールビヨンやミニッツリピーターを始めとする超複雑機構だけでなく、独自のコンスタントエスケープメント(調速脱進機構)の開発や、アストンマーティンとのコラボレーションなど、次世代を見据えたアプローチにも積極的だ。

日本とのつながりも古く、幕末に創業者ファミリーの一員であるフランソワ・ぺルゴが自社製の懐中時計を携え初めて日本の地を踏んでいる。これが時計を巡る日本とスイスとの関係の嚆こ うし 矢となった。

そんなGPは、現在パトリック・プルニエCEOの下、独立したマニュファクチュールとしてリスペクトを浴び、メゾンを象徴するDNAを受け継ぐ「ブリッジ」、スクエアケースの「ヴィンテージ1945」、エレガントなラウンドケースの「1966」など五つのコレクションを展開している。中でももっとも熱い視線を集めているのが「ロレアート」だ。

「ロレアート」の誕生は1975年。当時スイス時計業界は、クオーツ腕時計の登場で〝クオーツショック〞と呼ばれる苦難の時代を迎え、それまでにない新しい高級腕時計の姿が摸索されていた。
18Kゴールドなどの貴金属に代わり、ステンレススチールを用いたスポーティーでエレガントな高級腕時計、すなわち最近ではラグジュアリースポーツウォッチと呼ばれるカテゴリーのルーツが登場してくる。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。