鳥取和牛の明日を担う4人衆 後編

鳥取和牛の真価は、舌と心を幸福感で満たす「とびっきりのうまさ」。繁殖、肥育、販売の各プロセスで「おいしい肉づくり」を目指し、飽くなき追求を続ける男たちを紹介する。

Photo Satoru Seki Text Junko Chiba

鳥取和牛の真価は、舌と心を幸福感で満たす「とびっきりのうまさ」。繁殖、肥育、販売の各プロセスで「おいしい肉づくり」を目指し、飽くなき追求を続ける男たちを紹介する。

鳥取牛生産者
鳥取牛のスペシャリストたち:(右上から時計回りに)鳥取県畜産試験場育種改良研究室室長・野儀卓哉さん、うしぶせファーム・岸本真広さん、鳥飼畜産・鳥飼雄太郎さん、前田牧場・前田皓さん

鳥取和牛の明日を担う4人衆鳥 前編」から続く

良い肉の牛を育てる肥育牛舎

うしぶせファーム:赤身の香り高い味わいを重視

次に訪問したのは東部、いかり原牧場。この一角に立つ4棟の牛舎の一つで、うしぶせファーム2代目の岸本真広さんが肥育を手がけている。和牛の生産地として名高い智頭(ちづ)町にある実家の牧場で生まれた子牛と、セリで買った子牛が100頭ほど、清潔で快適な環境でのんびり暮らす。

  • うしぶせファーム うしぶせファーム
    肥育している牛は約100頭。うち7割は雌牛だ。
  • うしぶせファーム2 うしぶせファーム2
    餌は配合飼料、わら、牧草を基本に、トウモロコシや大麦などのオリジナル素材をブレンド。
  • うしぶせファーム
  • うしぶせファーム2

「今、雌牛を増やしています。雄牛ほど肉量は取れないんですが、雌は肉のきめが細かく、優しいけれどしっかりした味わい。赤身にもう少し味をつけたいと、餌を工夫しています。サシが程よく入り、脂はさっぱりしていて、噛んだ後に赤身の甘さやいい香りが口中に広がる感じですね」

需要の落ち込みや餌代の高騰など、厳しい状況が続く中、岸本さんは「今一度おいしさを見つめ直し、よりうまい肉をつくる」べく奮闘中だ。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。