時代を超えてつながる種って、すてきです

京都市北部、上賀茂。平安京ができる以前から京野菜の栽培が盛んだったこの土地に、100年以上にわたって代々受け継がれてきた種子を守り、野菜を育て続けてきた「田鶴農園」がある。

Photo Masahiro Goda Text Izumi Shibata

京都市北部、上賀茂。平安京ができる以前から京野菜の栽培が盛んだったこの土地に、100年以上にわたって代々受け継がれてきた種子を守り、野菜を育て続けてきた「田鶴農園」がある。

一般的なきゅうりはハウスの中で栽培している
一般的なきゅうりはハウスの中で栽培している。

発芽率が悪く実も曲がりやすいため、あさかぜきゅうりの栽培は難しいが、一般的な緑色のきゅうりに手間がかからないわけではない。品種改良をした種を使用せず、古来のやり方で栽培技術を工夫する田鶴さんは、かぼちゃの根に一般的なきゅうりを接ぎ木している。そうすることで病気になりにくく、色味が落ちないきゅうりができるのだそうだ。

些細(ささい)な環境の変化によって如実に影響を受けるきゅうりを育てるのに重要なのは、長年の経験で培ったバランス感覚。肥料は一気に大量にではなく、薄く少しずつやり続ける。有機質肥料、化学肥料、それに温度と日光。その兼ね合いを見極め、バランスが取れるとおいしいきゅうりができる。
ほかにも、土に含まれる成分の割合を測る“土壌分析”をしたり、微生物のエサとなる有機物を投入したりと、さまざまな方向から土づくりに気を使う田鶴さんからは、代々受け継いできた土地を耕し、その営みを大切にする意識がうかがえる。

  • 賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川
    賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川。
  • 賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川
    賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川。
  • 賀茂川から分流し、上賀茂神社を通って流れる明神川
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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。