スウォッチグループ新作に見る「アセット」活用術

腕時計における不朽の価値とは? ミュージシャン兼ウォッチジャーナリストのまつあみ靖が、ハイウォッチメイキングの世界をナビゲートする連載第11回。前号では、今春ジュネーブで発表された、ウルトラハイエンドなモデルを紹介したが、今回は発表会という形を採らずに新作を届けているスウォッチ グループのハイエンドブランドの新作情報をお届けする。

腕時計における不朽の価値とは? ミュージシャン兼ウォッチジャーナリストのまつあみ靖が、ハイウォッチメイキングの世界をナビゲートする連載第11回。前号では、今春ジュネーブで発表された、ウルトラハイエンドなモデルを紹介したが、今回は発表会という形を採らずに新作を届けているスウォッチ グループのハイエンドブランドの新作情報をお届けする。

BREGUET。(右)TYPE 20 2057、(左)TYPE XX 2067
(右)TYPE 20 2057、(左)TYPE XX 2067
右は1950年代のミリタリーモデルをベースとする2カウンタータイプの「TYPE 20 2057」。左は同じく50年代の民間モデルを着想源とする「TYPE XX 2067」。往年の表記に準じ、ミリタリーモデルにはアラビア数字の「20」、民間モデルにはローマ数字の「XX」が冠されている。ともにコラムホイール、垂直クラッチを採用し、60時間のパワーリザーブを持つ10振動/秒の新型フライバッククロノグラフキャリバー728を搭載。自動巻き、ケース径42mm、SSケース×カーフストラップ(付け替え用NATOストラップ付属)、10気圧防水、各2,585,000円。

スウォッチ グループがバーゼルワールドからの離脱を表明したのは2018年7月のことだった。その後、有力ブランドが相次いでバーゼル離脱を宣言し、それがこのエキシビションの消滅を招来したことは、ご承知の方も多いだろう。

スウォッチ グループは、ハイエンドブランドに特化した発表会「TIME TO MOVE」を19年に開催し、20年にもチューリッヒでの開催を予定していたが、パンデミックの影響で中止を余儀なくされる。

以降、同グループは合同で新作発表会を行っておらず、各ブランドが独自に、適切なタイミングで新作を発表する形を採っている。デジタルコミュニケーションの進化により、以前のような発表会は必要なくなったという指摘もあるが、さてスウォッチ グループによる何らかのアクションはあるのか⁉

合同での発表会はなくとも、同グループから魅力的なモデルが次々と届いている。まずブレゲ。18年にカタログから姿を消していたメゾンを代表するパイロットウォッチ「タイプxx」が“復活”。一つは1950年代の軍用モデルを範とする2カウンターモデル、もう一つが57年製の民間用モデルをベースとした3カウンターモデル。シンプルでマスキュリンな前者か、ノーブルさと精悍さを融合させた後者か、悩ましくもうれしいカムバックとなった。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。