“青流”が生む竜と滝 中編

高知ショートトリップ第2弾。「もっと仁淀ブルーを」と貪欲になり、安居渓谷で滝めぐりを試みた。水晶淵、せり割洞穴、砂防ダムと、感動が続く。

Photo Masahiro Goda  Text Junko Chiba

高知ショートトリップ第2弾。「もっと仁淀ブルーを」と貪欲になり、安居渓谷で滝めぐりを試みた。水晶淵、せり割洞穴、砂防ダムと、感動が続く。

飛龍の滝
安居渓谷のシンボル 飛龍の滝。一筋の滝が下のほうで裾を広げながら、幾筋もに分かれていく。

安居渓谷で滝めぐり

「もっと仁淀ブルーを」と貪欲になり、安居渓谷(やすいけいこく)で滝めぐりを試みた。仁淀川の支流、安居川沿いに広がるこの渓谷は、「仁淀ブルー」を体感するにははずせないスポットの一つだ。
何と言っても、川の水がきれい。源流に残る手つかずの原生林が、雨水を土砂を巻き込むことなく濾過(ろか)して地下にため込み、その水が湧きだして流れる川だからだ。

また流れが速い分、水の生まれ変わるサイクルが短くフレッシュ。度々の豪雨が川底をさらってくれるおかげで、石も岩も苔ごと“洗濯”され、原色がそのまま残る。しかも渓谷には、緑色片岩が無数に転がっていて、透明な水に独特のブルーの“色づけ”をする。そういった自然条件が重なり、「奇跡の清流」が形成されているのである。

実際、大小さまざまな岩が転がる河原の遊歩道を歩くと、澄んだ川の流れに心が洗われる。仁淀ブルーが最も美しいと評判の水晶淵(すいしょうぶち)や、大きな岩の隙間からのぞく仁淀ブルーの美しさに息をのむせり割洞穴、カーテン状に水が流れ落ちる砂防ダムなど、感動の連続だ。

また渓谷を分け入ると、随所で轟々(ごうごう)と流れ落ちる滝に圧倒される。とりわけ見事なのは「龍」の字のつく三つの滝である。一つ目は昇龍の滝。20年ほど前にこの辺りの植林を間伐した時に姿を現したという。落差60m、龍が天に昇る姿を彷彿とさせる。二つ目は背龍の滝。そう大きくはないが、雨上がりにはすぐそばで水飛沫を感じることができる。そして三つ目は飛龍の滝。飛ぶ龍とは名前からして勇壮だ。大量の水が2段にたぎり落ちる様を間近で見ていると、時を忘れる。目は仁淀ブルー、耳はほとばしる水音、身は滝の放つマイナスイオンに癒やされる。清流の聖地・安居渓谷は、まさに“滝天国 ”なのだ。

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ラグジュアリーとは何か?

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