豊かなライフスタイルをかなえるために

SDGs×企業 第22回 アルフレックスジャパン

イタリア生まれのモダン家具をベースとする一方で、日本という環境にかなったオリジナル家具を開発し、国内で製造するアルフレックスジャパン。
家具を通じて「豊かなライフスタイル」を届けたいと考える同社にとって、暮らしを左右する環境への配慮は欠かせない。その具体的な取り組みを紹介したい。

Text Asuka Kobata

SDGs×企業 第22回 アルフレックスジャパン

イタリア生まれのモダン家具をベースとする一方で、日本という環境にかなったオリジナル家具を開発し、国内で製造するアルフレックスジャパン。
家具を通じて「豊かなライフスタイル」を届けたいと考える同社にとって、暮らしを左右する環境への配慮は欠かせない。その具体的な取り組みを紹介したい。

「Cheers to the good life!」をテーマとした2023年の新作コレクションでは、再生可能素材を採用した「A・SOFA es」を発表。1986年発表の「A・SOFA」を進化させた、未来を見据えた取り組みである。

日本におけるモダン家具のトップブランドであり、長きにわたり業界を牽けん引いんしてきたアルフレックスジャパン。1969年、イタリアの家具メーカー、アルフレックスで家具製造を学んだ保科正氏(現・同社顧問)が創業し、その後、同国の洗練されたデザインを生かしつつも日本のライフスタイルに合うオリジナル家具を製造・販売し続けている。

創業以来変わることなく同社が提案しているのは「豊かなライフスタイル」そのもの。イタリアを始めとするヨーロッパには、世代を超えて生活道具を受け継ぎ、長く使い続ける文化がある。シートのへたりや子どもがつけた傷なども家族の歴史として愛し、丁寧に手入れをしながら使うのだ。「愛着を持って家具を大切にすることは、人生を大切にすることにつながる」。そんな学びを得た保科氏は、日本の人々に時を経ても飽きのこない安心して長く使える家具を届けたいと考えた。そして同社は、SDGsが掲げられるずっと以前から、寿命の長いサステナブルなものづくりに向き合ってきた。

家具が長く使われると、廃棄されるものが軽減し、環境に優しい循環が生まれる。タイムレスなデザインはもちろんだが、同社が特に重視しているのが堅牢なつくりだ。ソファのシートには耐久性に優れたモールドウレタンを用い、主要な構造部に10年間の長期品質保証を付加。さらに20年、30年と愛用してほしいからこそ、メンテナンス体制の整備に注力してきた。製品開発の際には将来手を加えることを想定し、パーツごとに効率良く修理・交換できるよう設計。神奈川県川崎市にある自社の修理施設では、持ち込まれた家具一つひとつの状態を診断し、今後の使い方や予算を踏まえて最適な対処を提案している。張り地のクリーニングや交換ができるよう着脱可能なカバーを開発したのも、71年発売のソファ「MARENCO」からといち早く、画期的なアイデアとして話題を集めた。ソファの型紙は製造終了品を含むすべてを保管しているため、購入から長い年月が経ってもメンテナンス対応ができるという。

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。