新・ポルシェミュージアム誕生

創業以来の最大建築プロジェクト

V字型の3本の支柱で支えられたミュージアムは、外から見ると宙に浮いているかのよう。館内には、展示フロアのほか、レストランやイベントフロア、ルーフテラスなどが収められている。
V字型の3本の支柱で支えられたミュージアムは、外から見ると宙に浮いているかのよう。館内には、展示フロアのほか、レストランやイベントフロア、ルーフテラスなどが収められている。

1月31日、ドイツ・ツッフェンハウゼンのポルシェ本社に「ニュー ポルシェ ミュージアム」が誕生した。5,600m2という広さに80台を超える名車を展示。1900年に製造された世界初のハイブリッドカー「ローナーポルシェ」の伝説的なホイールハブから最新の911シリーズに至るまでのポルシェの歴史やモータースポーツとの関係、数々の革新的技術、そして創業から現在までのポルシェラインナップを存分に楽しめる構成になっている。未来的な外観は、ウィーンのDelugan Mseissl建築事務所がデザインを担当。ヨーロッパ各地から170の建築事務所が参加したデザインコンペディションを制し、2005年から設計・施工をスタート。「ポルシェのダイナミックさを反映しつつ、その自身にあふれた姿と大きな魅力」建築を通じて表現したという。

また、美術館には、カフェ、ビストロ、レストランといった多彩な飲食スペース、さらには贅沢なイベントスペースも併設されている。

80台を超える名車を展示

(上)「ポルシェ911とその進化」の展示フロア。(下左)すべてのスポーツカーの原型ともいえる『ポルシェ タイプ64』。(下右)写真奥から『VWビートル』、『タイプ 360 チシタリア』、『ポルシェ“No.1”ロードスター』。
(上)「ポルシェ911とその進化」の展示フロア。
(下左)すべてのスポーツカーの原型ともいえる『ポルシェ タイプ64』。
(下右)写真奥から『VWビートル』、『タイプ 360 チシタリア』、『ポルシェ“No.1”ロードスター』。

展示のハイライトともいえるのが、1948年に生まれたポルシェNo.1と呼ばれるポルシェ356の第1号プロトタイプである。ポルシェの名を冠した最初のスポーツカーはその優れたスポーツ性能で真に現代的なスポーツカーという概念を具現化した傑作だ。他にも1956年の『550Aスパイダー』、1973年の『911カレラRS2.7』など、ポルシェの歴史を彩った名車や、他社のために最高レベルのニューエンジンの開発を行ない、F1界に革命をもたらした1986年の『マクラーレンTAG MP4/2Cフォーミュラ1』も注目すべきマシンだ。

80車のヒストリックカーのほかにも約200点の展示品が陳列。常時、展示車両が入れ替えられ、足を運ぶ度に新しい名車に巡り合うことができる。さらに、ミュージアムに展示しているマシンが歴史的なレースやパレードへ送り出され、2009年はポルシェ550Aスパイダーがイタリアのミッレミリアに、カレラGTLアバルトがオーストラリアのクラシックアデレードラリーに参加するという。美術館で出会ったマシンがレースで走る姿は、感動を呼び起こしてくれるに違いない。

「ポルシェ」という偉大なる財産

ポルシェ
(上)白を基調にデザインされた館内にはガラス張りのワークショップも併設されている。
(下)ポルシェに関する総合的な資料が集まっているヒストリーアーカイブも設けられており、今日までの成功の歴史の証がすべてここに保管されている。

各国のポルシェオーナーはもちろんのこと、オーナー以外のスポーツカーに魅せられている世界中の人々の交流の場となるであろう「ニュー ポルシェ ミュージアム」。年間の来場者は20万人を越えると予想されている。ポルシェを次の世代に継承するという重要な役割を果たすニュー ポルシェ ミュージアムは、新しいポルシェのランドマークとなるだろう。

●ポルシェ ミュージアム
Porscheplatz D-70432 Stuttgart
開館時間:9:00~18:00(入館受付は17:00まで)
※月曜休館

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。