最高純度の1秒を刻む

日本における貴金属や宝石の取り扱いの礎を築き、貴族院議員としても活躍した山崎龜吉によって1918(大正7)年に創業したシチズン。100周年を迎えた2018年、年差±1秒という世界最高精度(※)のエコ・ドライブ ムーブメントCal.0100を発表し、驚きと称賛を呼んだ。この驚異的なキャリバーをイエローゴールドケースに搭載し、土佐清帳紙の文字盤を採用した、品格あふれるモデルが登場した。

Text Yasushi Matsuami

日本における貴金属や宝石の取り扱いの礎を築き、貴族院議員としても活躍した山崎龜吉によって1918(大正7)年に創業したシチズン。100周年を迎えた2018年、年差±1秒という世界最高精度(※)のエコ・ドライブ ムーブメントCal.0100を発表し、驚きと称賛を呼んだ。この驚異的なキャリバーをイエローゴールドケースに搭載し、土佐清帳紙の文字盤を採用した、品格あふれるモデルが登場した。

ザ・シチズン AQ6032-03P
自律した時計内部の機構だけで年差±1秒という世界最高精度(※)を実現したCal.0100をYGケースに搭載。「ザ・シチズン AQ6032-03P」エコ・ドライブ(光発電クオーツ)、ケース径37.5mm、YGケース×ワニ革ストラップ、5気圧防水、特別店限定(限定50本)、2,200,000円。

3,153万6,000。この数字が意味するものは何か? 1年365 日を秒に換算すると、3,153万6,000秒。そのうちの1秒に満たない誤差しか生じない機械が、時計はもちろん、他のジャンルにも存在するだろうか? 標準電波やGPS衛星からの電波を受信することなく、自律した時計内部の機構だけで年差±1秒という驚異の高精度を、光発電式のエコ・ドライブで実現したキャリバー0100をシチズンが発表したのは、創業100周年を迎えた2018年のこと。この世界最高精度は、クオーツウオッチのメカニズムを根本的に見直すことで実現された。

シースルーケースバッグ
シースルーケースバックを通して、美しい装飾仕上げの上から黒ルテニウムめっきを施したCal.0100のプライドに満ちた姿を観賞できる。

まず精度の要となる水晶振動子。一般的なクオーツウオッチでは、音叉型と呼ばれる中央にスリットの入った水晶振動子が用いられる。これに対して、キャリバー0100ではATカット型と呼ばれるスリットのない平板状の水晶振動子を採用。音叉型に電圧をかけると毎秒32768Hzで振動するが、ATカット型は、その256倍ものおよそ840万Hzの高振動を生む。加えて温度や重力の影響を受けにくいメリットも有している。
このATカット型水晶振動子にエイジングを施して熟成させ、その中でも経時変化の少ない安定したクオリティーのものだけを厳選。さらに、1分ごとに温度をモニタリングし、温度変化によって生じる水晶振動子の周波数の変化を補正する「温度補正機能」までも備えている。

パーツ製造に関しても、LIGA工法と呼ばれる最新の微細構造物形成技術を導入し、工作精度を極限まで高めた。さらにバックラッシュという歯車がかみ合う際に生じる、ごくわずかなあそびさえも抑制するため、LIGA工法による特殊な形状のバネを組み込んだ「三番戻し車」を新開発。これにより毎秒毎秒、秒針がブレることなく、ぴたりとマーカーに重なる。超高精度ならではの、純度の高い1秒までもが表現された。

ワニ革ストラップ
竹斑(たけふ)と呼ばれる希少部位のみを用いたブラックのワニ革ストラップも、全体の印象を引き締める。

このキャリバー0100を、高品位にふさわしいイエローゴールドケースに搭載した「ザ・シチズン AQ6032‐03P」が登場した。ピュアなラウンドケースに、高精度をつかさどる水晶をモチーフとするシャープなフォルムのラグを組み合わせ、力強く時刻が読み取りやすいヘールカット形状の時分針、独特な輝きを放つ長い真鍮製の秒針などが、端正かつ品格あふれる表情をつくり出す。

ダイヤル
手作業ならではの質感や風合いに富む「土佐清帳紙」と、立体感に富んだインデックスや針とのコントラストも印象深い。6時位置には「ザ・シチズン」のシンボル「イーグルマーク」を配置。ワシは1000m先の獲物をも見つける視力を持つことから「先見性」を象徴するとともに、古来、鷹狩りなどで人とのパートナー関係を築いてきたことから「身に着ける方に永く寄り添う」という意思も表している。

ダイヤルには国の無形文化財に指定されている手漉き和紙「土佐清帳紙」を採用。楮を原材料に昔ながらの方法を守り、薄く丈夫で、発電のための光の透過性を確保しつつ、簀の目と呼ばれる独特の縦縞文様が浮かび上がり、一つとして同じものがない手作りならではの味わいに富む。

6時位置とリュウズには「ザ・シチズン」のシンボル「イーグルマーク」を配し、ケースバックからは、黒ルテニウムめっきを施したキャリバー0100の矜持に満ちた姿を観賞できる。

土佐清帳紙
ダイヤルには、楮を原材料として、人の手で紡ぎ、漉き、太陽と清流にさらされて生まれる日本伝統工芸の「土佐清帳紙」を採用。Photo Eisaburoh Hosog

純度の高い1秒1秒を、このうえなく大切に刻むタイムピース。1秒の貴重さを知る選ばれし50人のみの腕で、他にない存在感を示すことだろう。

※アナログ式光発電腕時計(自律型)として。
2022年4月現在、シチズン時計調べ

●シチズン時計お客様時計相談室
TEL 0120-78-4807

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。