「2年間、フランス各地を旅して、町の食堂で郷土料理を食べて。でも、それが身になっているとは思いますね」
帰国後は、ポール・ボキューズ氏が顧問を務めた銀座「レンガ屋」に勤め、ヌーベルキュイジーヌの洗礼を受ける。
その後、実子を亡くし、店を転々とする荒れた時代も経験したが、六本木「オー・シザーブル」のシェフとして経営を学び、2度目の渡仏での三つ星レストランなどでの修業を経て、ついに「ル・マンジュ・トゥー」をオープン。隠れ家のような店で、谷氏が人生のすべてを表現しためくるめく料理に圧倒され、骨の髄まで満たされるような体験は「ル・マンジュ・トゥー」ならではだ。
「先のことは考えますが、妻も店のマダムである楠本(典子)も、谷は現場にいないとダメな人間だと言うんです。だから、お客様に料理をお出しすることは続けるでしょうね。料理について考えるのは、本当に楽しいですからね」
谷昇
1952年東京生まれ。六本木「イル・ド・フランス」でアンドレ・パッション氏に料理を学び、2度の渡仏。三つ星店「クロコディル」などで修業し、1994年「ル・マンジュ・トゥー」を開店。
●ル・マンジュ・トゥー
東京都新宿区納戸町22
TEL 03-3268-5911
www.le-mange-tout.com
※『Nile’s NILE』2019年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています