淀江漁港をあちこち見て回っていると、ウェットスーツ姿の男性が、「ウニの味見をしてみますか?」と声をかけてくれた。
素潜り漁を終えて、漁港に出荷しに来た漁師の元木輝さんだ。元木さんは、夏は素潜りでウニやアワビを、冬は釣りで鰆やフグをとる。夏の素潜り漁は、1日1時間半までと規制されており、漁獲量を調整している。
「淀江で潜って11年になります。年々、ウニは減ってますね。この辺りの海では、黒ウニが山ほどいて、赤ウニの餌まで食べてしまって赤ウニが太れなかったり、もともと生き物として黒ウニのほうが強いから赤ウニが駆逐されている感じです」
貴重な赤ウニを割って試食させてもらうと、身の色合いがさまざま。これはどうしてか。
「今までウニの身の色の違いは、ウニが食べている餌による差だといわれていたんですが、どうやらもともとの個体差で、いろいろな色のウニが存在しているようです」と元木さん。神田裕行さんも赤ウニをいくつか食べてみて「色が明るいウニのほうが甘みを感じておいしいなあ」とポツリ。
「ところでそこの軽トラに書いてある“がいな鰆(さわら)”って?」と神田さんが質問すると、元木さんはうれしそうに返答。
「じつはこれ僕らがブランディングした鰆なんです。冬に脂がのった3kg以上の鰆を船上で徹底して血抜きしたものを“がいな鰆”として出しています。すぐに食べるよりも、7日から10日寝かせて、刺し身で食べるのがおすすめです」
●鳥取県漁業協同組合 淀江支所
TEL 0859-56-2043
※『Nile’s NILE』2019年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています
▼美味往還、旨し国 伯耆・因幡 関連記事
糖度21.5度の白ネギを産する自然栽培
やさしい牛はあっさりとした脂肪の肉に
里山の自然環境を再現する“活地気農法”
有機肥料の配合を変えて作るオーダーメイド野菜
ジビエの神様
梨、風が吹く丘の上で
野菜も米も、大切に相対する
豆腐で育てた鳥取地どりピヨ
神経締め、墨・血抜きして極上に
歴史ある漁港の若い力
淀江漁港
御来屋漁港
醸は農なり日置桜
燗してなおよくなる辨天娘