西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる

フランスと日本を代表する三つ星シェフであるアラン・デュカスさんと神田裕行さんは、長年、親交が厚い。そして、互いに日本料理とフランス料理の架け橋となってきた。その二人が豊洲市場の鮪のせりに行くと聞き、様子を追った。

Photo Masahiro Goda

フランスと日本を代表する三つ星シェフであるアラン・デュカスさんと神田裕行さんは、長年、親交が厚い。そして、互いに日本料理とフランス料理の架け橋となってきた。その二人が豊洲市場の鮪のせりに行くと聞き、様子を追った。

西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
午前5時半に始まった生鮮鮪のせり。

10月に豊洲市場を訪れたのは、フランスの週刊誌「PARIS MATCH」の密着取材を受けたデュカス氏が、来日の一環で神田氏に案内を依頼したからだ。そしてなぜ、デュカスさんが神田さんに白羽の矢を立てたかというと、日本を代表する料理人であり、またフランスをよく知る長年の友人として自分の興味を理解していると信頼していたからである。

神田さんは考えに考えた。

そうだ、鮪のせりを見に行こう

豊洲市場は、世界中の魚が集まり、特に鮪は品質の高さから世界中で参考にされる価格を生み出している。デュカス氏には鮪のせりの様子を通じて、部位ごとの味わいや産地の違いなど体験ができるプランを神田さんが練り、豊洲市場の鮪専門の仲卸「やま幸(ゆき)」の社長、山口幸隆さん、「鮨さいとう」の齋藤孝司さんらの協力を得て実現した。

集合は豊洲市場の正門北

午前4時半、豊洲市場に到着した一行は、仲卸「やま幸」を訪れた。店内で神田氏は鮪の部位や仲卸の役割を説明し、デュカス氏は興味深げに聞き入った。5時半、威勢のいい掛け声とともに始まる鮪のせりでは、「やま幸」が極上の鮪を落札。間近で脂の乗りや色合いを確認する貴重な体験となった。

  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
    生鮮鮪のせりが終わると、冷凍のせりが始まる。
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
    話しながら冷凍鮪のせりに移動するデュカスさんと神田さん。
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
    「やま幸」がせり落とした鮪を間近で見る二人。
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
    せり落とした鮪は仲卸業者が、荷台やターレーで運び出す。
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
  • 西と東の料理人、鮪のせりを訪ねる、アラン・デュカス&神田裕行
1 2 3
ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「Nileport」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。