金沢産 加賀太きゅうり
また、きゅうりと酸味の相性のよさを生かしているのが、鰯と加賀太きゅうりを組み合わせた一皿。きゅうりは薄切りにして鰯にかぶせ、下にも配した。このきゅうりは昆布塩水で軽く水気を抜いてから、すだち果汁の酸味をまとわせたもの。
「きゅうりを乳酸発酵させた漬物って酸っぱくておいしいでしょう? その酸味をすだちで表現しました」
冒頭で記した通り、飯塚さんは幼少期から、採れたてのきゅうりの漬物を食べてきた。
「野菜はなんでもそうですけど、きゅうりって採れるときは大量に採れて食べきれないんです。漬物も、言ってみれば、食べきれないきゅうりで作った保存食」と飯塚さん。「うちでは母が手作りする赤紫蘇の漬け汁で漬けていましたが、漬け加減は夕方に漬けて朝に食べたり、余ったものは何カ月も漬けて古漬けになったり、いろいろ」
そんな生活の知恵に基づいた伝統的な味こそが、本当の贅沢。飯塚さんの「きゅうりの原体験」はそんな豊かな土壌に根ざしている。
飯塚隆太 いいづか・りゅうた
1968年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、「第一ホテル東京ベイ」「ホテル ザ・マンハッタン」などを経て、94年「タイユバン・ロブション」の部門シェフに就任。97年に渡仏し、「トロワグロ」「ジャンポール・ジュネ」などで修業。帰国後、ジョエル・ロブション氏の系列店で研鑽を積み、2005年「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」のシェフに。11年「リューズ」をオープン。12年版『ミシュランガイド東京』で一つ星、13年版以降は二つ星の評価を得ている。
●リューズ
東京都港区六本木4-2-35
アーバンスタイル六本木B1
TEL 03-5770-4236
restaurant-ryuzu.com
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