こうした環境に対する意識を常に持つ一方で、米澤氏はレストラン業界の将来についても危機感を持ち、若い料理人の教育にも力を注ぎたいと話す。それは、今の30歳前後の若手料理人は、料理修業もビジネス修業も中途半端だと感じるから。「企業の都合で、教育を受ける機会のないまま、漫然と年を重ねざるを得ない……そんな状況なのだと思います」
こうした若手の勉強の場を作るため、近々、友人にして先輩、そして同じ危機感を持つ奥野義幸氏(「ラブリアンツァ」オーナーシェフ)とオンラインサロンをはじめる。「それが、僕が今を生きる料理人として、将来に向けてできること」という。
The Burnは、ただ活気に満ちているのではない。こうした広い視野を持つ、未来に向けた米澤氏の責任感がベースにある。それが、この店の信頼感と安心感、それらに裏打ちされた心地よい雰囲気につながっているに違いない。
米澤 文雄 よねざわ・ふみお
1980年、東京都生まれ。「イル・ボッカローネ」(東京・恵比寿)でキャリアをスタートし、22歳でニューヨークに渡る。ミシュランガイド三ツ星「ジャン・ジョルジュ」で日本人初のスーシェフを経験後、帰国。2014年より「ジャン・ジョルジュトウキョウ」のシェフを務める。2018年に自らプロデュースした「ザ バーン」エグゼクティブシェフに就任。
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