
日本海を見下ろす美しいロケーションに立つ「ハイディワイナリー カフェ&レストラン」。輪島市門前町千代(せんだい)に、ぶどう畑、醸造所、カフェ&レストランを構える。今回の能登半島地震では震度7を観測した地域で、現在は営業を休止しているが、公式通販サイトの販売が徐々に再開している。
半島を一望する七尾城跡
能登半島の先端を震源とするマグニチュード7.6の大地震。親指のはら辺り(輪島市や珠洲市など)の沖にはいくつもの活断層があり、100㎞以上の範囲で海底の活断層が次々と壊れ、大地震になったとみられている。石川県志賀町では震度7、珠洲市や輪島市、七尾市、穴水町でも震度6強の揺れを観測。今回の地震は、2020年12月ぐらいからの群発地震で繰り返された揺れ(震度6)とは、桁違いのエネルギーで、余震も輪島市沖から佐渡島(新潟県)西の沖合まで約130kmで発生した。
海と陸と空と
輪島市門前町、日本海を見下ろす高台に立つ「ハイディワイナリー カフェ&レストラン」を訪ねた時のこと。ここから能登の海がはるかかなたの水平線まで続いている様子を眺めていると、突然の雨。1時間くらい激しく降り続いたと思いきや、雲の間からわずかに青空が顔を出した。そしてまたすぐに、嵐のような激しい雨……。黒い雲が去ると今度は海の上に虹がかかった。刻々と表情を変える海と空を目の当たりにして驚くばかりだったが、地元の人は「激しくクルクルと変わる、1月の能登らしい天気だ」と笑っていた。
こうした厳しくもあり美しい能登の新たな一面を知り、改めて自然の雄大さ、ともに暮らす人たちの強さに感じ入ったことを記憶している。
輪島市白米町、小さな田が重なり海岸まで続く「白米千枚田」。この絶景は、日本で初めて国連食糧農業機関(FAO)の世界農業遺産に認定された「能登の里山里海」を代表する景色だ。認定理由は、農耕の長い歴史を持つ中で、農家に古くから伝わる農耕儀礼「あえのこと」(ユネスコ無形文化遺産)に代表されるように、農耕と伝統文化や祭礼、慣習が一体的に形成されているからだという。中でも、輪島市、珠洲市、穴水町、能登町の奥能登地域には、「あえのこと」のような伝統的な風習が今も色濃く残っており、里山里海の豊かな自然や文化が一体となり維持されている。