レガシーとおもてなし
貴重なレガシーがもう一つ。開業以来、時代とともに磨き上げられてきた「おもてなしの心」だ。80歳にして現役、小池幸子さん(宿泊部客室課マネジャー)はその象徴的存在と言えるだろう。入社2年目にライト館に配属された彼女は、主に年単位で長期宿泊する外国人客を接遇していたという。
「密着サービスですよね。当時は連日の夜勤が当たり前で、お客様とともに過ごす時間が長い分、仲が深まり、親しみが増します。きめ細かな配慮をしながら、日々接遇することで、おもてなしのすべてを学ぶことができました。当時から心底仕事が楽しく、その気持ちは今も同じです。時代とともにおもてなしの形は変化しますが、密着というキーワードの重要性は不変ですね」
約8年後に現本館の建て替え開始が予定されている帝国ホテルだが、小池さんは次世代に「心からの笑顔と家庭的なぬくもりを大切にするおもてなしの精神」を伝えたいと言う。それこそがまさに帝国ホテルのレガシーなのである。
●帝国ホテル 東京
東京都千代田区内幸町1-1-1
TEL03-3504-1111
www.imperialhotel.co.jp