次なる理想に向かって機能価値と感性価値の両面で進化する「ザ・シチズン」。シチズン独自の光発電駆動技術エコ・ドライブを搭載したモデルでは、光の透過性の高い素材による新しい表現に挑戦し、土佐和紙を用いた文字板で高い評価を得てきた。和紙ならではの質感を生かしたものに始まり、彩色や箔仕上げを施したもの、さらに藍染和紙文字板まで実現させてきた。その新作「AQ4103.16E」が登場。繊維の段階から黒染めして漉いた土佐和紙に、「砂子蒔き」と呼ばれる伝統技法で金箔を蒔いた文字板が採用されている。
土佐和紙は、清流・仁淀川が流れる高知県日高村にある、ひだか和紙の手になるもの。独自の抄紙機の技術により、究極の薄さや透明度、均一性を実現。文化財の保存修復などにも用いられ、世界的に高い評価を受けている。これまで「ザ・シチズン」の和紙文字板でも確かな実績を築いてきた。
この土佐和紙に「砂子蒔き」を施すのは、1991年以来シチズンの漆や蒔絵装飾を手掛けてきた会津の工房、坂本乙造商店。金沢の金箔を粉末状に加工し、糊を引いた黒和紙の上に、金鉱石をイメージしながら、職人が一つひとつ筆で箔を施していく。箔のバランスや立体感のみならず、光の透過性も意識しながら繊細な作業が進められる。こうして完成した文字板は、華やかな気品と奥行きを感じさせ、同じものが一つとしてない工芸品ならではの魅力にも富む。
二つの和の技法が、シチズンのものづくりの哲学と響き合った傑作で時を刻む贅沢を味わいたい。
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