大きな変更点の一つはベゼル。かつては五つのくぼみの位置が、ねじ込みの具合により個体差が生じていたが、五つの多角形ビスでケースに固定する方式に変更し、常に一定のポジションをキープできるようにした。ケースとブレスレットの連結部も、ノーズ型ラグから可動式ミドルリンクに変更。ブレスレットも厚みを抑え、プロポーションも見直し装着性を向上させた。グリッドスタイルダイヤルもIWCの新しいロゴとのバランスを考慮し、リデザインしている。軟鉄製インナーケースによって4万A/mの耐磁性を保証しながら、ケース厚は10.7mmに抑えた。
ステンレススチール3タイプとチタン1タイプの計4タイプが用意されているが、クヌープ氏は、チタンタイプを自身のフェイバリットに挙げた。オリジナルの雰囲気を求める向きにはブラックダイヤルがお勧めできる。ブルーとグリーンの中間的な初採用カラーのアクアダイヤルも目を引く。このグリッドダイヤルが、『鬼滅の刃』の主人公、竈門炭治郎の羽織の緑と黒の市松模様に似ていると、一部で評判との情報も。右ページに紹介しているシルバーメッキダイヤルは、スポーティーなさわやかさがあり、40mmというサイズ感とあいまって、ジェンダーレスに使える雰囲気。夫婦やカップルでシェアするだけでなく、母親と息子、父親と娘など、新しい形のシェアウォッチの可能性も示唆している。
この新生「インヂュニア・オートマティック40」の発表に合わせて、76年のオリジナル「インヂュニアSL」や78年のイエローゴールドタイプなど、歴史的な「インヂュニア」が、去る6月初旬に“来日”し、IWC新宿ブティックと大阪うめだ阪急ブティックで展示され、話題をまいた。これらの希少モデルは、世界各地のブティックを巡回後、全世界からのエントリーの中から選ばれた人に販売される予定だ。もちろん全てのモデルが、IWCの責任の下にメンテナンスを施され、保証書が付帯する。
IWCは、以前から時計の出自の証明書というべき、アーカイブ申請に対応してきた。このサービスは、一つひとつの製品を、長年にわたって徹底して管理できる態勢と実績がなければ不可能で、実施しているのは、ごく一部のハイエンドなメゾンに限られている。また、IWCはどんなに古いモデルでも必ず修理するという永久保証を打ち出しており、現行品のみなならずビンテージモデルについても、自社製品の価値を守るスタンスを明確にしている。昨今、ビンテージウォッチへの注目度が高まり、ブランドによる認定中古制度も進んできている。その流れの中で、IWCの信頼感がさらなるバリューを生むことは間違いない。
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