住まいは価値ある投資

「住まいは投資する価値がある」と語るのは、建築家の芦沢啓治さん。2023年代官山にオープンしたインテリアショップ「ザ・コンランショップ代官山店」や代々木公園を臨む「TRUNK(HOTEL) YOYOGIPARK」など、話題となる商業施設のデザインを次々に手掛ける一方、住宅のデザインにも一貫して取り組んできた。落ち着きのあるシックで繊細なカラートーンの空間に、上質で手触りのよい自然素材を用いた家具を配した、心身が安らぐ、静かで心地よいデザインには定評がある。

Photo Masahiro Goda, Tomooki Kengaku  Text Asuka Kobata

「住まいは投資する価値がある」と語るのは、建築家の芦沢啓治さん。2023年代官山にオープンしたインテリアショップ「ザ・コンランショップ代官山店」や代々木公園を臨む「TRUNK(HOTEL) YOYOGIPARK」など、話題となる商業施設のデザインを次々に手掛ける一方、住宅のデザインにも一貫して取り組んできた。落ち着きのあるシックで繊細なカラートーンの空間に、上質で手触りのよい自然素材を用いた家具を配した、心身が安らぐ、静かで心地よいデザインには定評がある。

「日々の快適な生活はメンタルと健康に良い影響を与えるため、家に投資することは確実なリターンがあります。家のスタンダードを高めることは、気分の豊かさにつながり、仕事や家庭、他の側面にも良い影響を与えます。コロナ禍で家での時間が増え、住まいに対する関心が高まった背景があります。北欧では寒い冬の長い期間、家での時間が多いことが住まいへの意識を高めています。アジアでもコロナやSNSの影響で住まいへの関心が増しています。」

では、質の高い豊かな住まいはどのようにすれば実現するのだろうか。
「素敵な暮らしをしている人は、生活に対して貪欲で、自分の好みに一貫した美意識を持っている」と芦沢啓治さんは語る。その域に達するには学びが必要であり、旅や経験を通じて感性を磨くことが大切です。スウェーデンの『ETT HEM』など、世界中の上質なホテルや友人デザイナーの家を訪れ、インテリアの重要性を感じたと述べる。

彼が手がける空間は、足を踏み入れるだけで心が穏やかになり、柔らかな光や調和した色合いが特徴だ。空間のノイズを慎重に取り除き、家具や照明などがトータルに調和していることで、忙しい現代人が求める豊かな暮らしのヒントがそこに実現している。

  • 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所
    「House in Aoyama」。アートが壁や空間との関係の中で大きく関係し合うことから、プロポーションや場所だけでなく、周辺のディテールも細やかに設計されている。
  • 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所
    「ザ・コンランショップ代官山店」の地下には1階とは異なった趣のギャラリーがあり、展示会などにも活用されている。
  • 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所
    「TRUNK(HOTEL) YOYOGI PARK」の客室。バルコニーは特徴的な手すりや植栽によって公園や街と部屋を視覚的につなげ、インテリアはくつろぎの空間に合わせて特注などの家具をしつらえた。
  • 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所
  • 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所
  • 住宅特集、住まうことの楽しさ、芦沢啓治建築設計事務所

●芦沢啓治建築設計事務所
東京都文京区小石川2-17-15 1F
TEL 03-5689-5597
www.keijidesign.com

▼住まうことの楽しさ  関連記事
家は自分を表現する場
時を超えて残り続けるもの
“心地よい”と向き合うプロセス
 住まいは価値ある投資

※『Nile’s NILE』2024年1月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

1 2
ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。