時の舞台で思いを馳せる

銀座のランドマークとして親しまれる和光の本店地階が、全く新しい空間として生まれ変わった。
1932年に服部時計店の本社ビルとして竣工されて以来連綿とつながる歴史、時の流れに思い馳せる。

Photo   Text Mizuki Ono

銀座のランドマークとして親しまれる和光の本店地階が、全く新しい空間として生まれ変わった。
1932年に服部時計店の本社ビルとして竣工されて以来連綿とつながる歴史、時の流れに思い馳せる。

時の舞台で思いを馳せる、銀座和光
コンセプトは「時の舞台」。地階フロアのリニューアルを記念して、300本限定発売された和光特別ブレンドウイスキー「YAMAZAKURA PURE MALT WHISKY Specially bottled for WAKO」が、オープンから7月31日(水)まで展示された。

日本の中心、最先端のモノが集まる文化の発信地、銀座。そのシンボルである時計塔で知られる和光の本店地階が、約半年の閉業期間を経てリニューアルされた。

一歩足を踏み入れると、ふわりと木の香りが鼻 腔をくすぐる。暖かなライティングに照らされてまず目に飛び込んでくるのは、フロア中央部に設置された霧島杉の回転什器だ。時計の長針と短針のように動いて形を変えるこの什器には商品がディスプレイされ、まるでプロダクトを主役にした“舞台”のよう。周囲を取り囲む“回廊”を歩けば、人と物、人と人の出会いや交流が生まれる。

今回、地階フロアの設計を担当したのは、杉本博司氏と、榊田倫之氏が主宰する新素材研究所だ。古代や中世、近世に用いられた素材や技法を再解釈して新たな空間デザインを生み出す新素材研究所は、「和光を“和”の“光”として捉えた」として、「今の時代、何が本当の“和”なのか」を表現。京都の町家に使われていた敷石や、珊瑚が堆積してできた沖縄県産のトラバーチンの柱、雲母摺りの唐紙にアンモナイトなどの化石を刷った壁紙─、こだわり抜かれた和の素材や、ネオ・ルネッサンス様式の建築空間に調和する無垢でソリッドな空間デザインから、和光が創業から大切にしてきた日本の美意識や伝統の豊かさが伝わってくる。

1932年の竣工以来、銀座の街を見守りつづけてきた和光。生まれ変わった地階では、これまで和光が歩み、刻んできた時間に想いを馳は せることができる。ぜひ一度、足を運びたい。

  • 時の舞台で思いを馳せる、銀座和光 時の舞台で思いを馳せる、銀座和光
    秋田杉で造られた格子状の仕切り壁。隙間からは奥の空間が見え、日本の建築らしい開放感を演出している。
  • 時の舞台で思いを馳せる、銀座和光 時の舞台で思いを馳せる、銀座和光
    販売されているプロダクトはどれも、ものづくりを大切にし、国内外のクリエイターと日本の美しさや文化を表現してきた和光ならではのもの。
  • 時の舞台で思いを馳せる、銀座和光
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和光
TEL 03-3562-2111

※『Nile’s CODE』 Vol.30に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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