だが、帰国後、門をたたいたのはモダンな料理で知られる「アロマフレスカ」の原田慎次氏。
「毎日、毎日、満席でも、丁寧さを積み重ねるのが原田さんの仕事であり、料理。学ぶことは多かったですね。しかも、僕の経験も認めてくれて『責任は自分が持つからやってみなよ』と、姉妹店『カーザ ヴィニタリア』のシェフを任せてくださいました。あと、店は持ってからが長いという話をしてくれたこともあり、勢いで独立するべきじゃないな、と焦る気持ちが消えました」
そして、満を持して40歳で「工房」を意味する「ボッテガ」をオープン。大人の雰囲気が漂う店内は、「心を込めて焼いています」というフォカッチャの香ばしい香りに包まれていた。
「フォカッチャやパスタも、その日の気温や湿度、食材によってレシピを調整します。その加減こそが、料理人の腕の見せどころじゃないかと思うのです。次々に新しい料理を作るよりも、そうやって一つのものを探求して、掘り下げていきたいと思っています」
笹川尚平
1976年富山県生まれ。調理師学校卒業後、東京で中国料理を学び、後にイタリア料理に転向。1年間イタリアで修業した後、「アロマフレスカ」の原田慎次氏に師事し、2017年に広尾に「ボッテガ」をオープン。
●ボッテガ
東京渋谷区広尾5-17-8
アプリシエ広尾B1F
TEL 03-6450-3933
bottega-cucina.com
※『Nile’s NILE』2019年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています