そして、お客さんとして紹介してもらった銀座界隈(かいわい)の一流の人たちを知ることで、「自分もかくあるべし」と身を引き締め続けているという。
「一流にならなきゃ残っていけません。若い子たちにも、『一流を目指さないとダメ』と言います」
自分の姿勢がきちんとしていなければ、いい仕事はできない。
「職人はただ職人じゃなくて、職人芸がなければ、人を喜ばせることはできない。物を作るのが職人なのではない。お客さんに納得し、喜んでいただく。そこまでやらなきゃいけないと思う」
そして「私自身も、まだ一流を目指しています」とも。“芸”のある職人の道を生涯追求する。
だからこそ、野田岩は一流であり続けている。
金本兼次郎
1928年東京生まれ。1957年に野田岩の5代目を継ぐ。戦後の混乱から家業を立て直し、支店の展開や百貨店での販売などにも進出。ワインとの食べ合わせを進めるなど、時代に即した変化を工夫する。91歳の今も現場に立つ。
●五代目 野田岩 麻布飯倉本店
東京都港区東麻布1-5-4
TEL 03-3538-7852
www.nodaiwa.co.jp
※『Nile’s NILE』2019年4月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています