記憶に残る昭和の味、平成の味

料理人たちにとって記憶に残る「昭和の味、平成の味」とは? 今回は、三科惇さん、厲愛茵さん、山田チカラさん、フィリップ・ミルさん、杉本壽さんに伺った。

Photo Haruko Amagata. Masahiro Goda  Text Rie Nakajima. Izumi Shibata. Junko Chiba

料理人たちにとって記憶に残る「昭和の味、平成の味」とは? 今回は、三科惇さん、厲愛茵さん、山田チカラさん、フィリップ・ミルさん、杉本壽さんに伺った。

杉本壽
東京ステーションホテル オーク

東京ステーションホテル オーク 杉本壽氏

終戦5年前に生まれた私は、戦争を知っている世代です。「昭和の味は?」と聞かれると、どうしても「そもそも食料がなかった」ということが頭に浮かびます。実家は神奈川の足柄、田舎の農家でしたから、野菜や米に困ることはなかったけれど、東京から多くの人が家に買い出しに来たことを覚えています。そのせいか私、今も食べ物や飲み物を捨てられない。もちろん賞味期限は徹底して守りますが、「切れる前に消費する」ことを心がけています。
昭和の味で思い出すのは、サイコロステーキでしょうか。とてもはやりましてね。「忙しい証券マンが早く食べられるように兜町のレストランが開発した」とも伝えられていますので、サイコロステーキは“働き蜂”が支えた日本の高度成長と、食の洋風化を象徴する食べ物だったのかもしれません。
あとは食と時代が結びつくような思い出はこれといったものが……。私自身は昭和、平成、令和とパスタが好きで、家でも家族との会食でもよくいただきます。そんな時に好んで飲むのは、ウイスキーですね。ジョニーウォーカーのレッドに氷を入れ、少々の水で割って楽しんでいます。

●東京ステーションホテル オーク 杉本壽

杉本壽さんの想う「令和の味」
愛に満ちた時代になるように

※『Nile’s NILE』2019年8月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。