日本およびアジア勢は今後のインバウンドに期待
日本勢の結果は、「傳」21位、「フロリレージュ」27位、「セザン」37位入賞という、昨年の初の4店舗入賞と華やかな話題をふりまいたのに比べると、やや残念なものに終わってしまった。日本のガストロノミー業界を牽引し続けている「NARISAWA」が惜しくも51位、昨年41位にランクインした「ラシーム」が60位と後退する結果となったのが、大きく影響している。評議員は1年半以内に訪れた店しか投票できないという規定があるので、やはり、コロナ禍の影響が大きく残っていたと考えられる。
今年のインバウンドの勢いを鑑み、来年におおいに期待したいところだ。ただ、美食大国フランスやペルーのような国からもニューエントリー店が複数入っているように(51位〜100位のランクも含め)、日本にもそうした勢いのある後進が必要であるのは明らかだ。願わくは、自国の料理で勝負できる人材の登場に期待したい。
アジア全体を見ても、トップがシンガポール「オデット」の14位。アジアベスト50で1位だった「ル デュ」が15位とは、欧州、南米に比べてアジアの評価が低過ぎると言わざるを得ない。その中で、オデットのジュリアン・ロイヤーシェフは、「シェフズ チョイス」というシェフが選ぶシェフ賞に選ばれており、ゆるぎのないテクニックが評価されたことは大変うれしい。しかしながら、中国圏では、香港の「チェアマン」が50位で唯一のランクインと寂しい限りだ。コロナ問題、政治問題含め、アジアまでフーディーズが到達できなかったのが、22年の現状なのであろう。
ランキングシステムはどのようになっているのか
ところで、こうしたランキングはどのように決まるのかと、読者は気になるところであるだろう。上述のように、世界5大陸、27の国と地域から選ばれた40人のフーディーが持ち票の10票のうち7票までを自国のレストランに、3票までを他国のレストランに投票し、その合計数で順位が決まるという仕組みだ。40人のうち、約1/3が料理関係者、約1/3がフーディー、約1/3がメディアである。そしてさらに、評議員の約1/3は毎年入れ替わるというのが規約になっている。投票できるのは1年半以内に実際に食べに行った店だけである。先章でコロナ禍の影響と述べたのはそうした意味からだ。これらのことを含め、毎年の順位の入れ替わりがダイナミックで、発信力があり、見ているものの心をはずませるのだ。