さまざまな地産地消

その土地でとれた食材を使い、料理し、食べる。歴史の中で当たり前のように実践されてきた地産地消が、改めて注目されている。都市のレストランではどのようにこれを取り入れているのか? 三人のシェフにうかがった。

Photo Masahiro Goda. Hareko Amakata  Text Izumi Shibata

その土地でとれた食材を使い、料理し、食べる。歴史の中で当たり前のように実践されてきた地産地消が、改めて注目されている。都市のレストランではどのようにこれを取り入れているのか? 三人のシェフにうかがった。

菊地美升
ル・ブルギニオン

  • 北海道・北斗市のおぐにビーフから仕入れる和牛のサーロイン
    北海道・北斗市のおぐにビーフから仕入れる和牛のサーロイン。サシが入りすぎず、赤身の味がよい。独自の配合飼料を、牛の発達段階に合わせて細やかに変えながら与えて肥育。味のよさの指標であるオレイン酸値の高い肉を作る。
  • 厚沢部のグリーンアスパラガス専門農場
    道南の厚沢部(あっさぶ)に位置するグリーンアスパラガス専門農場、ジェットファームからのもの。化学肥料、化学農薬、除草剤不使用で栽培することで生まれる自然な甘み、春野菜らしい青々とした風味が特徴。シェフのファンも多い。

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川田智也
茶禅華

  • 東京都立川市にある伊藤養鶏場の烏骨鶏
    東京・立川市にある伊藤養鶏場の烏骨鶏。奥が雄、手前が雌。伊藤養鶏場は50年以上の歴史を持ち、代表である伊藤彰さんは3代目。餌の内容に工夫を重ねるなど、おいしい烏骨鶏とその卵を作ることに対し非常に熱心。
  • 「茶禅華」の料理を支える、地元南麻布の水
    「茶禅華」の料理を支える、地元南麻布の水。関西は軟水、関東は硬水と言われるが、この南麻布の水にはほどよい硬さあり、料理を繊細かつシャープに仕上げるという。それは「茶禅華」が目指す「繊細で力強い料理」に通じる。

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ルカ・ファンティン
ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン

  • 神奈川県小田原市の「さんの水産」から届いた相模湾のアオリイカ
    神奈川・小田原市の「さんの水産」から届いた相模湾のアオリイカは、寿司店でも使うクオリティーのもの。なお早朝に水揚げされたものが昼に到着するので、鮮度抜群。身に厚みがあり、味が濃厚にのった、大型のものを仕入れる。
  • 千葉県山武市「三つ豆ファーム」
    ピゼッリ(イタリアのグリーンピース)は、完全有機無農薬を実践する千葉・山武市「三つ豆ファーム」のもの。地域で出るオカラなどで独自に肥料を作り、循環型農業を行う。生命力のある野菜を、午前にとり午後には都内の店に納品。

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※『Nile’s NILE』2023年7月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。