「普通なら、エビをゆでたら、ネギを細く切ったものに熱い油をジュッとかけて、シャンツァイと一緒に盛るというのが中華の基本です。
でも、そればかりだと、そこから抜けられない。台湾でも、台湾バジルはよく使われています。シャンツァイではなくバジルやミントにすることで、シャンツァイが苦手な人にも楽しんでいただけますよね」
料理とともに、盛り付けも変わった。中国料理を骨董(こっとう)などの和食器に盛るのが桃の木流だが、今回はデザート以外で初めてガラスの皿を使っている。
「日本人作家が手がけたガラスの器です。前から持ってはいたのですが、使う機会がなくて。中国料理らしくないと感じるかもしれませんが、日本で中国料理というと連想される、細切りのキュウリやキクラゲを添えた盛り付けも、一般的に知られているだけで、本当の中国料理とは違うのです」
“中国料理”というイメージにとらわれるのではなく、より広くフラットな視野で、世界で求められるおいしい料理を作る。新元号にかわったからではないが、「ウチにはウチの流れがあって、それがこのタイミングに合致した」と小林氏。新時代の幕開けを、新生・桃の木の料理とともに迎えたい。
小林武志 こばやし・たけし
1967年愛知県生まれ。辻調理師専門学校、同技術研究所で学んだ後、職員として8年間勤務。吉祥寺「知味 竹爐山房」「際コーポレーション」などを経て2005年、38歳の時に「御田町 桃の木」を開業。『ミシュランガイド』では二つ星を獲得。
●赤坂 桃の木
東京都千代田区紀尾井町1-3 紀尾井テラス3F
TEL 050-3155-1309(予約受付時間 15:00〜)
momonoki.tokyo/
※2020年、「御田町 桃の木」は田町から赤坂に移転し、「赤坂 桃の木」になりました。
※『Nile’s NILE』2019年5月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています