糖度21.5度の白ネギを産する自然栽培

農薬も有機肥料も使わない自然栽培を手がけ、野菜や植物を育てて土を作る。白ネギの糖度は21.5度。肥料を使わない分、成長が緩やかで葉の巻きがゆったりとしているため、火が通りやすく、トロみがあるのが特徴だ。

Photo TONY TANIUCHI  Text Rie Nakajima

農薬も有機肥料も使わない自然栽培を手がけ、野菜や植物を育てて土を作る。白ネギの糖度は21.5度。肥料を使わない分、成長が緩やかで葉の巻きがゆったりとしているため、火が通りやすく、トロみがあるのが特徴だ。

國吉農園
ひまわり畑に立つ國吉美貴さん。自然の循環を感じ、食べて幸せになれる食材を作るために自然栽培を手がける。鳥取県の「助け合える人のよさ」にもひかれて、この地に農園を開いた。國吉さんの白ネギは、シンプルにソテーしただけで子供がむしゃむしゃと食べるほど甘くておいしい。

「ヒマワリは病気がちな土を改善してくれ、ソルゴーは土に空気を入れて作物が育ちやすくしてくれます」と、國吉農園主の國吉美貴(くによしみつき)さん。農薬も有機肥料も使わない自然栽培を手がけ、野菜以外にも目的に応じた植物を育てて土を作る。肥料を使った野菜と比べると小さく育つこともあるが、その分、香りや味わいが凝縮される。

岡山県に生まれ、兵庫県の国立大学の農学部を卒業。自然栽培の観光農園に勤めた後、農園を開くにあたり、妻の故郷である鳥取県でも、とりわけ水が豊かで、ミネラル豊富な黒ぼく土を持つ大山の麓を選んだ。雪は降るが、むしろ雪にあたることで白ネギの糖度が増すという。「夏に白ネギの糖度を測ったら、21.5度でした。普通は10度程度なので、皆さん驚かれます」と笑顔。

肥料を使わない分、成長が緩やかで葉の巻きがゆったりとしているため、火が通りやすく、トロみがあるのが特徴。肥料に含まれるリンや窒素の影響を受けないことで、エグみのない繊細でまっすぐな味わいになる。

テキパキと説明しながら畑を歩く國吉さんは、若く精力的なだけでなく、頭の回転が速い。農薬や肥料に頼らない自然栽培は、本を読み、人に聞き、実証を繰り返す絶え間ない向上心がなければ成り立たないのだから当然ともいえるだろう。そんな國吉農園では、白ネギを始めブロッコリーやトウモロコシ、トマト、ジャガイモ、ニンジンなどの野菜や米が飛ぶように売れる。

●國吉農園
www.kuniyoshi-nouen.jp

※『Nile’s NILE』2019年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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