
夏の風物詩ともいえる西瓜だが、季語は“秋”に分類される。西瓜の一番美味しくなる時期が、立秋頃(8月上旬)であるのがその理由だ。
きんきんに冷やした西瓜をかぶりつく……。熱のこもった体が冷やされ、心からホッとできるひとときだ。
この西瓜をどのように料理に用いるのか。料理人たちの技が光る。
西瓜切るや家に水気と色あふれ 西東三鬼
海際に跼みて紅き西瓜食ふ 山口誓子
鮎の簗とどめは冷えし西瓜かな 佐治玄鳥
モンロー忌今日と知らずに西瓜食ふ 皆吉司
夏の果て西瓜大きく切られけり 鈴木真砂女
西瓜物語 目次
日本料理 かんだ 神田裕行
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挑戦するにあたって大切にしたのは、「スイカをしゃくしゃく食べながら、時々種をペッと出す、あのリズム感と、涼感あふれるシャリッとした歯触り」。自分の記憶と、スイカが象徴する日本の夏の風土に密接に結びついた前菜に仕立てた。龍吟 山本征治
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「スイカには、柑橘の香りがよく合う」
「2代目ゴンちゃんスイカ」をノコギリで切り、包丁で表面を整えた。「スイカにトッピングをして、横に持ってサクサクッと食べていただく」ことをイメージした結果、ピザのようになった。銀座 小十 奥田透
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「スイカ、といえば鮎の内臓。『鮎の腹はスイカの香りがする』とよく言われます。この二つの素材をベースに考えました」
ここに施されるのが、スイカと鮎の風味を格段に高める、複雑で力強い二つの味付けだ。石かわ 石川秀樹
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スイカと牛肉という、意外性いっぱいの組み合わせ。「新たに素材に向き合う際は、とりあえずさまざまに試してみます。いろいろ味わった中で『これは意外といい』というものを詰めていく。あとは何を取り合わせるか、ですね」虎白 小泉瑚佑慈
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スイカ、塩だしのジュレ、伊勢海老の昆布締めを組み合わせた前菜。
「伊勢海老の刺身は塩で食べると甘みが引き立ちます。そのシンプルな甘みを狙いました」『すいかの匂い』作家・江國香織さん
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江國さんにとって、すいかは特別な存在だ。
「すいかは夏を象徴する果物であるだけじゃなく、身近なものなのに特別感があり、大きさも色も、はっきり言って風変わりだから。それに、すいかの匂いには、淡いかなしみが感じられると思います」「スイカ愛」は時代を超えて
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西瓜は、いつどこで生まれ、いつ日本に渡来したのか、どんな健康効果があるのか。西瓜の歴史と効能を探った。
※『Nile’s NILE』2021年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています