「ボジョレー・ヌーボー解禁!」「ボジョレーワインの基礎知識」から続く
1970年代、初めて日本へ入ってきたボジョレー・ヌーボー。その後、バブル景気に後押しされ、ブームに火が付いたことを記憶に刻んでいる人も少なくないだろう。解禁日が11月の第3週の木曜日と決まっているため、時差の関係で日本は世界一早く飲める国として、お祭り騒ぎをしたものだ。その後約30年を経て、ボジョレー・ヌーボーはどのように進化したのだろうか。
ボジョレー地区はリヨンの少し北に位置する、ガメイの名産地だ。比較的タンニンが少なく、淡いタッチのブドウで、フレッシュな果実感をしっかり残した、のどごしのいいワインに仕上がるのが特徴だ。
エスキスの総支配人兼シェフソムリエの若林英司さんは言う。「いつのころからか、収穫を祝う意味を込めて早飲みの新酒が造られるようになりました。法律が整い、ボジョレー・ヌーボーとして売り出されたのは1950年代。気軽に飲めるワインとして一世を風靡したものの、その印象が強過ぎてしまい、ボジョレー離れが進んだこともありました。しかしボジョレー地区には、クリュと呼ばれる格付けされた村もあり、長期樽熟、瓶熟させた複雑な味わいの高価なものもあります。その下にはボジョレー・ヴィラージュという認可されたクラスもあり、ボジョレー地区のワインは、3段階の顔を持っていると言えます」
今年のボジョレー・ヌーボーの出来は?という質問には、フランスは4月に雹(ひょう)が降るほど寒かったが、8月は酷暑だったので最終的には糖がのり、熟したブドウになったと思われる、と。おそらく豊かで酸が穏やかなのでは、との答えに、今から待ちきれない思いだ。