鳥取和牛の明日を担う4人衆 前編

鳥取和牛の真価は、舌と心を幸福感で満たす「とびっきりのうまさ」。繁殖、肥育、販売の各プロセスで「おいしい肉づくり」を目指し、飽くなき追求を続ける男たちを紹介する。

Photo Satoru Seki Text Junko Chiba

鳥取和牛の真価は、舌と心を幸福感で満たす「とびっきりのうまさ」。繁殖、肥育、販売の各プロセスで「おいしい肉づくり」を目指し、飽くなき追求を続ける男たちを紹介する。

子牛の出産を担う繁殖牛舎

前田牧場:繁殖専心18年。進化を目指す

最初に向かったのは西部、前田牧場。数日前に初冠雪を戴いただいた大山のふもとで繁殖を手がける牧場だ。経営するのは「生まれながらにして牛飼い」を自任する前田皓(ひかる)さん。幼い頃から父の牧場を手伝い、20歳で独立。肉用牛繁殖経営に新規参入したという。

  • 前田牧場 前田牧場
    17ヘクタールと広大。牧草は一部、自前の畑で栽培する。
  • 前田牧場2 前田牧場2
    (右)生後間もない〝白鵬ブランド〟の子牛たち。食欲旺盛だ。(左)最近は改良スピードが速く、血統的には若い牛が人気だという。
  • 前田牧場3 前田牧場3
    敷地は生まれた雌牛はなるべく母牛として残し、増頭を進めている。
  • 前田牧場
  • 前田牧場2
  • 前田牧場3

「こちらの牛舎には今、育成中の若い20頭を含めて約110頭の母牛がいます。彼女たちが年に80~90頭の子牛を産みます。今は母子が半年ほど同じ牛舎にいますが、11月末には、分娩させる牛舎と小さい子たちを入れる牛舎を新設する予定。いろんなばい菌を持ち込むカラスを排除するなど、環境を改善します」

前田牧場の牛は、母牛も子牛も「人なつっこい」と評判だそうだ。それは前田さんの「牛愛」の表れ。肉質にもいい影響を与えているに違いない。

「牛という生き物を相手にするこの仕事に、完璧はありえない。つまりゴールがない、そこがおもしろいですね。すばらしい肉質の鳥取和牛に育てるにはどうすればよいか、掛け合わせや飼料、環境、接し方など、あらゆる視点から試行錯誤を続けます」

そう語ってくれた前田さんは「将来的には肥育、販売も手がけたい」と意欲的だ。

鳥取和牛の明日を担う4人衆鳥 後編」に続く

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。