シンプル・ラグジュアリーへの誘い

ニュージーランドのソーヴィニヨン ブランは、今やフランスのそれと並ぶほどの品質にまでになっている。その先駆者であるクラウディー ベイが葡萄畑を持つ、キャプテン・クックもこよなく愛した南島北東部のマールボロを訪ねた。

Photo Chiyoshi Sugawara  Text Koko Shinoda

ニュージーランドのソーヴィニヨン ブランは、今やフランスのそれと並ぶほどの品質にまでになっている。その先駆者であるクラウディー ベイが葡萄畑を持つ、キャプテン・クックもこよなく愛した南島北東部のマールボロを訪ねた。

ニュージーランドワインを世界に知らしめた、クラウディー ベイ ソーヴィニヨンブラン。フレッシュなアロマと、爽やかな酸味が特徴だ。マールボロの自然がもたらす独特の風味をまとっている。カキやムール貝に特によく合う。
ニュージーランドワインを世界に知らしめた、クラウディー ベイ ソーヴィニヨンブラン。フレッシュなアロマと、爽やかな酸味が特徴だ。マールボロの自然がもたらす独特の風味をまとっている。カキやムール貝に特によく合う。

豊かな海と豊饒(ほうじょう)なる大地に恵まれた南北二つの島から成るニュージーランド。この二つの島は、わずか20㎞ほどのクック海峡で隔てられている。1769年にこの海峡を発見したキャプテン・クックは、穏やかな入り江の奥まで航行し、この地に拠点を築いた。この入り江に立ち込めた朝霧を見て、キャプテン・クックはここを「クラウディー ベイ」と名付けた。

1万年前の氷河期に形成されたフィヨルドは、1702年のブレンハイムの戦いを大勝に導いたマールボロ公爵(故チャーチル首相の祖先)にちなみ、マールボロ・サウンドと命名。やがて、その風光明媚(めいび)な土地であることが知られるようになるが、世界にその名を馳(は)せたのは1980年代に入って、ワインの産地として、である。

  • リッチモンド山麓(さんろく)に整然と広がるクラウディー ベイの葡萄畑。ここマールボロの豊かな風土が生み出す良質な葡萄のみを厳選して使う。 リッチモンド山麓(さんろく)に整然と広がるクラウディー ベイの葡萄畑。ここマールボロの豊かな風土が生み出す良質な葡萄のみを厳選して使う。
    リッチモンド山麓(さんろく)に整然と広がるクラウディー ベイの葡萄畑。ここマールボロの豊かな風土が生み出す良質な葡萄のみを厳選して使う。
  • マールボロのブレナムにあるクラウディー ベイのセラードア。周辺の大自然を感じながら、外でもクラウディーベイのワインを楽しめる。 マールボロのブレナムにあるクラウディー ベイのセラードア。周辺の大自然を感じながら、外でもクラウディーベイのワインを楽しめる。
    マールボロのブレナムにあるクラウディー ベイのセラードア。周辺の大自然を感じながら、外でもクラウディーベイのワインを楽しめる。
  • リッチモンド山麓(さんろく)に整然と広がるクラウディー ベイの葡萄畑。ここマールボロの豊かな風土が生み出す良質な葡萄のみを厳選して使う。
  • マールボロのブレナムにあるクラウディー ベイのセラードア。周辺の大自然を感じながら、外でもクラウディーベイのワインを楽しめる。

南島の北端に位置するマールボロは、ニュージーランドで最も長い日照時間と、昼夜の寒暖差、そして海からの冷涼な風、水はけのいい土壌に恵まれた国内随一のワインの生産地だ。ここを代表するワイナリーが、日本でも知られるクラウディー ベイである。1985年の創設以来、世界的なワインコンクールでも数々の受賞歴を持つ、優れたワインを生み出し続けている。

  • すべての銘柄が年代別に分かりやすく販売されている。ここでいろいろな銘柄のワインをテイスティングすることができる。 すべての銘柄が年代別に分かりやすく販売されている。ここでいろいろな銘柄のワインをテイスティングすることができる。
    すべての銘柄が年代別に分かりやすく販売されている。ここでいろいろな銘柄のワインをテイスティングすることができる。
  • 年々、確実にファンを増やしているのが、常に安定した味わいのテ ココだ。マールボロのセラードアのワインショップには古いものが並ぶ。 年々、確実にファンを増やしているのが、常に安定した味わいのテ ココだ。マールボロのセラードアのワインショップには古いものが並ぶ。
    年々、確実にファンを増やしているのが、常に安定した味わいのテ ココだ。マールボロのセラードアのワインショップには古いものが並ぶ。
  • すべての銘柄が年代別に分かりやすく販売されている。ここでいろいろな銘柄のワインをテイスティングすることができる。
  • 年々、確実にファンを増やしているのが、常に安定した味わいのテ ココだ。マールボロのセラードアのワインショップには古いものが並ぶ。

クラウディー ベイを象徴する品種はやはり、ソーヴィニヨン ブランだ。マールボロの自然がもたらす独特の風味を持つ葡萄で造ったソーヴィニヨン ブランは、確かな存在感を放っている。さらにブリティッシュ・エアウェイズのコンコルド機内サービスで採用されるなど、高級プレミアムワインとして世界的な評価を獲得してきた。その他、シャルドネ、スパークリングワインのペロリュス ブリュット、ピノ ノワール、2000年には新たな味わいのソーヴィニヨン ブラン100%のテ ココが生み出された。

ソーヴィニヨン ブラン100%のテ ココ。フレンチオークの古樽で自然発酵させ、長期熟成させている。ワイナリーを訪れれば、貴重なヴィンテージを楽しむこともできる。このテ ココ 2000は、完熟した柑橘類やトロピカルフルーツの豊かな香りと、香ばしい味わいだ。
ソーヴィニヨン ブラン100%のテ ココ。フレンチオークの古樽で自然発酵させ、長期熟成させている。ワイナリーを訪れれば、貴重なヴィンテージを楽しむこともできる。このテ ココ 2000は、完熟した柑橘類やトロピカルフルーツの豊かな香りと、香ばしい味わいだ。

テ ココは、ソーヴィニヨン ブラン100%の白ワインだ。フレンチオークの古樽で自然発酵、2年間長期熟成させているため、ボリューム感がある。とはいえ、ソーヴィニヨン ブランらしい爽やかさも備え、トロピカルフルーツの香りと、ミネラル感が融合した余韻は、テ ココならではである。

「ワインの深みのある味わいは、その生み出されたテロワールや風土を体感してもらってこそ」と船上で語らう、クラウディー ベイのテクニカル ディレクターのジム・ホワイトさん。
「ワインの深みのある味わいは、その生み出されたテロワールや風土を体感してもらってこそ」と船上で語らう、クラウディー ベイのテクニカル ディレクターのジム・ホワイトさん。

「マールボロのテロワールを知り尽くし、それに最も適した葡萄を丁寧に育ててゆくことで、プレミアムワインが生まれる。ほどよく熟した葡萄を手摘みし、ブレンドに最適な葡萄のみを厳選している。同じ季節でも毎年の気候が違うように、その年によって葡萄の出来もワインも異なる。それがチャレンジでもあり、楽しみでもある。天の恵みを、地元の新鮮な食材と共に、友人や家族で分かち合うのは至福の喜びである」と、オーストラリアから移住した、クラウディー ベイのテクニカルディレクター、ジム・ホワイトさんは語る。彼は140 haにも及ぶ広大な葡萄畑の隅々まで知り尽くしている。

「土だけでなく、すべての環境が資産。葡萄の搾りかすや廃水などの再利用、生態系の存続のための栽植なども積極的に行っている」

●MHD モエ ヘネシー ディアジオ TEL03-5217-9733

※『Nile’s NILE』2019年2月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。