明治神宮の鳥居をくぐり、木々を縫うように参道を吹き抜ける清新な風を身に受けたその瞬間、ふだんは感じることのない厳かな気持ちになる。気がついたら、しばし足を止めて手を合わせ、頭を垂れて黙礼している自分がいる。
なぜなのか。それは日本人が古来、高い山や深い森、清水流れる川、あるいは樹齢数百年の木や巨大な岩など、自然を神と信仰してきたことと無縁ではないだろう。
再開発で注目される外苑の話に入る前に、まず明治神宮の神域、内苑が伝える「森の神話」を読み解こう。
森は明日の神話です。 目次
※『Nile’s NILE』2023年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています