森に興じる“造園雀”

片や富山に本社を置く造園業・越路ガーデンの3代目、西尾耀輔さん。片や「ワイルドサイエンティスト」こと在野の生物学者、片野晃輔さん。veigは、ありそうでなかったこのユニークな組み合わせから生まれた造園ユニットだ。二人の目には庭という森の小宇宙がどのように映じているのだろう。

Photo Masahiro Goda. Hiroki Tagawa  Text Junko Chiba

片や富山に本社を置く造園業・越路ガーデンの3代目、西尾耀輔さん。片や「ワイルドサイエンティスト」こと在野の生物学者、片野晃輔さん。veigは、ありそうでなかったこのユニークな組み合わせから生まれた造園ユニットだ。二人の目には庭という森の小宇宙がどのように映じているのだろう。

この花壇は明治神宮の杜のひな形のようにも思える。神宮の杜に限らず、森林開発というと、どうしても「木を伐る・伐らない」の対立的な議論に陥りがち。
でも大事なのは、関係者みんなで今後に向けて、「貴重な森林資源のために何ができるか、この件から何を学べるか」を話し合うことだと、veigは考える。

「観賞性(見る楽しみ)と探索性(考える楽しみ)」を標榜する“造園雀”たちの活動は、これからが本番。森の自然を見て、庭を眺めて、どんな面白い“おしゃべりの花”を咲かせてくれるのか、楽しみである。

veig 西尾耀輔氏

西尾耀輔 にしお・ようすけ
1997年、富山県生まれ。東京農業大学造園科学科にて造園学を学び、古庭園の調査や保存に関わる。その一方で、日本で活躍する有名造園家を訪ねまわる。卒業後は実家である越路ガーデンに所属し、東京事務所所長として多岐にわたる分野で庭の設計・施工・監修を行う。

veig 片野晃輔氏

片野晃輔 かたの・こうすけ
1997年、新潟県生まれ。中学時代から独学で分子生物学を学び、高校卒業後はMITメディアラボ研究員に。2019年に帰国し、ソニーCSL(Sony Computer Science Laboratories)で拡張生態系の研究に取り組む。現在は独立し、サステナビリティ領域の事業・研究コンサルティングや、大学や企業などと研究を行う。

※『Nile’s NILE』2023年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。