また北の郊外には1962年に発見されたヒシャーム宮殿の跡があり、考古学者は、カリフのヒシャーム(紀元724~743年)によって築かれた冬の宮殿であったと考えている。ウマイヤ朝時代(661~750年、イスラム史上最初の世襲イスラム王朝)に豪華な装飾が加えられ、8世紀半ばの大地震で破壊されたが、宮殿などは10世紀まで残り、床はカラフルなモザイクで彩られていた。
発掘・調査と記録撮影の後、浴室に隣接する部屋の「生命の樹」などを除き、モザイクの床は保存のため埋め戻され、今は柱頭飾りのついたおびただしい柱や、彫刻が施された壁が、遠い古いにしえの栄華をしのばせている。
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