スウォッチグループ新作に見る「アセット」活用術

腕時計における不朽の価値とは? ミュージシャン兼ウォッチジャーナリストのまつあみ靖が、ハイウォッチメイキングの世界をナビゲートする連載第11回。前号では、今春ジュネーブで発表された、ウルトラハイエンドなモデルを紹介したが、今回は発表会という形を採らずに新作を届けているスウォッチ グループのハイエンドブランドの新作情報をお届けする。

腕時計における不朽の価値とは? ミュージシャン兼ウォッチジャーナリストのまつあみ靖が、ハイウォッチメイキングの世界をナビゲートする連載第11回。前号では、今春ジュネーブで発表された、ウルトラハイエンドなモデルを紹介したが、今回は発表会という形を採らずに新作を届けているスウォッチ グループのハイエンドブランドの新作情報をお届けする。

  • HARRY WINSTON。HW オーシャン・デイト ムーンフェイズ オートマティック 42mm
    HARRY WINSTON
    新しいアシンメトリーデザインダイヤルを採用。2時方向に時分、7時方向にデイト、5時方向にムーンフェイズを備える。文字盤にはマザー・オブ・パールを用い、合計352個(約4.45ct)のラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンドをセット。
    「HW オーシャン・デイト ムーンフェイズ オートマティック 42mm」自動巻き、ケース径42.2mm、WGケース×アリゲーターストラップ、10気圧防水、11,385,000円。
  • JAQUET DROZ。ローリング・ストーンズ オートマトン
    JAQUET DROZ
    ブラックオニキスダイヤルの下に、手作業で彫金と彩色を施したギターやアンプなどのステージセットを再現。さらにストーンズのアルバムなどの中から選びディスク上にあしらうことが可能。このディスクはボタン操作により30秒で1回転すると同時に、ロゴの舌も作動する。
    「ローリング・ストーンズ オートマトン」自動巻き、ケース径43mm、RGケース×ファブリックストラップ、3気圧防水、受注生産、価格要問い合わせ。
  • BLANCPAIN。フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ
    BLANCPAIN
    120時間のロングパワーリザーブを持つキャリバー1315をベースに、3時間計計測機能を加えたキャリバー13P8を搭載する。10時位置にヘリウムエスケープバルブを装備。セントラルラグにストラップをネジ留めする方式により、堅牢性や装着感を高めた。
    「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」自動巻き、ケース径47mm、チタンケース×ラバーストラップ、30気圧防水、3,872,000円。
  • OMEGA。シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ
    OMEGA
    6000m防水のウルトラディープにはサマーブルーコレクションの中でもっとも濃い色調を採用。このモデルの開発時に潜水試験が行われた世界最深部であるチャレンジャー海淵の様子を文字盤上に再現。
    「シーマスター プラネットオーシャン ウルトラディープ」自動巻き、ケース径45.5mm、O-MEGAスティールケース×O-MEGAスティールブレスレット、6000m防水、2,002,000円。※9月8日からの改定価格。

ブランパンは、メゾンを代表するダイバーズウォッチの誕生70周年を記念した「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」を発表。長時間潜水に対応するべく、3時間の計時が可能なセンター針を備える。グレード5チタンをより高純度に進化させ、耐食性や生態適合性を高めたグレード23チタンをケースに採用した。軽量かつ堅牢なエクストリームダイバー仕様となっている。

オメガは、75周年を迎えた「シーマスター」コレクションの全11モデルで共通の新色“サマーブルー”ダイヤルをラインアップ。防水性が高くなるにつれブルーが濃くなるという遊び心にあふれた趣向。この夏、ライトブルー系の文字盤が多くのブランドから登場してきたが、オメガはトレンドセッター的な役割を担ったと言えるかもしれない。

ハリー・ウィンストンからは、スポーツウォッチコレクション「HW& オーシャン」のデビュー25周年を祝う「HW オーシャン・デイト ムーンフェイズ オートマティック42mm」が登場。四半世紀前、ダイヤモンドウォッチを男性が着けることには、いささか抵抗感があったが、その文化の普及にハリー・ウィンストンが果たした役割は小さくないだろう。

ジャケ・ドローからは、驚愕のローリング・ストーンズとのコラボモデルが登場。これまでにもストーンズとのコラボウォッチは、他ブランドでいくつか存在していたが、かつてないラグジュアリーかつ手の込んだ仕様と言っていい。

スウォッチ グループには、長い歴史を持つブランドが数々所属している。周年と関連付けながら、その伝統的、技術的“資産”を生かしたウォッチメイキングは、やはりクリエーティブで刺激的と言う他ない。

まつあみ靖 まつあみ・やすし
1963年、島根県生まれ。87年、集英社入社。週刊プレイボーイ、PLAYBOY日本版編集部を経て、92年よりフリーに。時計、ファッション、音楽、インタビューなどの記事に携わる一方、音楽活動も展開中。著者に『ウォッチコンシェルジュ・メゾンガイド』(小学館)、『スーツが100ドルで売れる理由』(中経出版)ほか。

※『Nile’s NILE』2023年9月号に掲載した記事をWEB用に編集し、掲載しています

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ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。