愉しみと思惟をまとって走るPORSCHE

初秋の風を感じる頃、都心から伊豆半島へ足を伸ばす。心地よく美しい快楽。東名高速から伊豆縦貫道へ高い静寂性を保ったまま走る。ポルシェが作るハイブリッドカーは、環境と楽しさを満足させる。ロングドライビングの目的地には、自然と完全に調和した静謐な宿が待っている。感性と知性という言葉がふと頭に浮かんだ。

Photo TONY TANIUCHI Text Fumio Ogawa

初秋の風を感じる頃、都心から伊豆半島へ足を伸ばす。心地よく美しい快楽。東名高速から伊豆縦貫道へ高い静寂性を保ったまま走る。ポルシェが作るハイブリッドカーは、環境と楽しさを満足させる。ロングドライビングの目的地には、自然と完全に調和した静謐な宿が待っている。感性と知性という言葉がふと頭に浮かんだ。

数寄屋造りの宿とポルシェ
竹林がぐるりと囲む本格的な数寄屋造りの“温かくやすらぐ、気のかよう宿”に、ポルシェ独自のショルダーラインが美しいパナメーラS E-ハイブリッドが溶け込んでいる。

夫婦で旅が好きなら、ポルシェ・パナメーラSE-ハイブリッドのようなクルマがいいと思う。ポルシェにはもう1台、カイエンS E-ハイブリッドもあり、最近で4は完全電気で走るミッションEという4人乗り4ドア車も話題になっている。こちらはまだ市販の予定はないようだが、ファンなら当然、期待できる。

夫婦で東京から足を延ばすとなると――いつも連想するのは、武田百合子の『富士日記』だ。1964(昭和39)年から、夫の文学者、武田泰淳とともに建てた富士山麓の山荘(「山小屋」と記されている)での生活を記した日記風エッセイである。

自身は太平洋戦争中の疎開生活などで貧村での生活にも慣れていたと前置きしたあと、「東京生まれで東京育ちの武田(泰淳)」について、「山暮らしのまわりで起る、朝夕の自然の変化や、地元の人たちとの会話やつき合いなどを、武田は初々しい怖れと好奇心をもって視つめ、楽しんだ」と前書きにある。

東京の自宅と富士山荘を往復する日々の記録を読んでいると、釣りに興じ、地元ならではの食材を使った料理に舌鼓を打ち、東京から訪ねてくる文学者仲間や編集者との会話を楽しみ、そして家族との絆を確かめ合う武田家の暮らしぶりが、淡々としていながら、すばらしく生き生きと活写されている。ひょっとして今、武田家がクルマを買うなら、パナメーラS E-ハイブリッドなんて、よく似合っているのではないかと想像したりする。

  • 伊豆修善寺温泉 柳生の庄 伊豆修善寺温泉 柳生の庄
    伊豆修善寺温泉 柳生の庄は、東名高速沼津ICや新東名高速長泉沼津ICからクルマで約30分と都心からのアクセスがいい。修善寺の里山の風情を感じられる静かな宿である。
  • 柳生の庄にカイエンS E-ハイブリッド 柳生の庄にカイエンS E-ハイブリッド
    豊かな自然に囲まれている柳生の庄にカイエンS E-ハイブリッドが到着。
  • 伊豆修善寺温泉 柳生の庄
  • 柳生の庄にカイエンS E-ハイブリッド

東京からどこかへ気晴らしに出かけていきたくなった時、一泊二日だったら、富士山麓の自然を満喫できる河口湖や山中湖もいいし、古くから湯治の町として名旅館が多い伊豆修善寺も悪くない。どこにしようかと考えると、家人を家事から解放してあげるためには、温泉と美食が最適の組み合わせと思い至った。理の当然である。

こういう時、パナメーラS E-ハイブリッドは最善の選択だ。4ドアセダンのエレガントなスタイルと、使い勝手のよさと、贅沢にできた室内、加えて燃料消費率を抑えたハイブリッドシステムという、かなり強力な組み合わせを誇っている。

ハイブリッドカーの走りの実力

風の通り道を走るパナメーラS E-ハイブリッド
風の通り道をパナメーラS E-ハイブリッドも風のように走る。秋晴れのもと気持ちいいドライブとなった。

一言で言うと、落ち着いた大人の男女が乗るのに、実にしっくりするクルマなのだ。

運転する身としては、ハンドルを切った時に反応が早いスポーティーな操縦性で飽きない。ハイブリッドシステムは、ドイツ式に、まずは行けるところまで電気モーターで走ってしまうというもので、高速でも電気モーターの強力なトルクでもって、ぐいぐいと加速していく。このパワフル感は一度体験すると病みつきになる。パナメーラに乗っていると、自分がたんなる運転手の立場に堕した気がしない。積極的に人生を、クルマを通して楽しんでいる姿勢を感じさせる。そこも魅力である。

ポルシェはスポーツカーメーカーなので環境性能とは相いれないイメージがあるかもしれない。しかし実は、熱心に取り組んでいる。その証拠は冒頭に触れた通り、さまざまな環境適合モデルを試作していることである。

「エネルギー資源として、再生可能な電力を利用することも可能です。これにより燃料消費量、CO2排出量、そしてエネルギー消費量全体を低く抑えることができます。概算の数値で言えば、電力で走る車は、一般的な乗用車の約4分の1のエネルギーで同じ距離を走行できる計算になります」

そういえば、とポルシェが好きな立場として思い当たることがある。最近のニュースとして、911という看板スポーツカーのエンジン排気量を小さくして、ターボチャージャーが装着されたのにも驚いた。それにより、燃料消費量を抑えつつ、よりパワフルな走りが可能になったとポルシェではうたっている。

季節が巡るように、と旅先を思案していた身としては考える。クルマを取り巻く環境も刻々と変化し、それに対応する責任を果たそうというポルシェのようなメーカーのプロダクトは、環境のことを意識する機会が多い自分ともしっくり合う。

ポルシェのハイブリッド

伊豆には風力発電の設備がある。欧州でも風が強いところでは、風力発電の発電風車が、屏びょうぶ風を思わせるぐらい並んでいる。スペインでも、そういう光景を見たことがある。その景色を思い描きながら、今ほど自然と暮らしが一体化してきた時代はなかったかもしれないと考えるのだ。少なくとも、意識の高まりという点ではそうだ。

パナメーラS E-ハイブリッドも、そういう時代の落とし子であり、クルマを楽しむことを知っていながら、かといって自分だけ幸福を追求することの無意味さを認識している人たちに向いているのだ。カイエンS E-ハイブリッドにしても、威風堂々としたたたずまいながら、いたずらに大排気量にまかせて疾走するのを良しとしないオーナーたちに歓迎されている。

  • 東伊豆町風力発電所を駆け抜けるパナメーラS E-ハイブリッド 東伊豆町風力発電所を駆け抜けるパナメーラS E-ハイブリッド
    風の通り道である東伊豆町風力発電所を駆け抜けるパナメーラS E-ハイブリッド。浅間山(せんげんさん)の尾根には海からの風が年平均風速6.6m/sで吹き、ここの風車が発電する電力は、東伊豆町稲取地区1100世帯分をまかなっている。
  • カイエンS E-ハイブリッドと風車 カイエンS E-ハイブリッドと風車
    カイエンS E-ハイブリッドと風車は、ともに威風堂々とした姿でたたずむ。
  • Panamera Sのロゴ Panamera Sのロゴ
    CO2排出量の抑制とパフォーマンスを兼ね備える証しとして、緑に彩られているPanamera Sのロゴ。
  • 東伊豆町風力発電所を駆け抜けるパナメーラS E-ハイブリッド
  • カイエンS E-ハイブリッドと風車
  • Panamera Sのロゴ

修善寺は山を背景に、美しい川が流れる町だ。丁寧に手を入れられた竹林を風が渡る時、耳に心地よい葉ずれの音が、再生可能エネルギーとしての風のもつ“力”を意識させてくれる。それは優しくもあり、しかし、力強くもある。それがどことなくポルシェがプラグインハイブリッドとうたう、環境適合性の強いクルマと通じるものを感じさせるのではないか。E-ハイブリッドのEる。

実は旅の疲労度が少ないのも、ポEルシェのプロダクトの大きな利点だ。いい意味で精神が高揚し、それが仕事や生活の活力になる。英気を養うためにいい旅館はまことに素晴らしい舞台であり、パナメーラS E-ハイブリッドはまたとないパートナーなのだ。

充電ドック
充電ドックはポルシェのオリジナルデザイン。このユニバーサルチャージャー(AC)を接続すれば充電できる。

カイエンS E-ハイブリッド
ボディー:全長4855×全幅1940×全高1710㎜
エンジン:3.0L V型6気筒(4バルブ)スーパーチャージャー
最高出力:245kW(333PS)/エンジン+エレクトリックシステム:306kW(416PS)
最大トルク:440Nm(3000~5250rpm)/エンジン+エレクトリックシステム:590Nm(1250~4000rpm)
駆動方式:フロントエンジン4輪駆動
トランスミッション:8速ティプトロニックS(左・右ハンドル)
価格:11,670,000円

パナメーラS E-ハイブリッド
ボディー:全長5015×全幅1930×全高1420㎜
エンジン:3.0L V型6気筒(4バルブ)スーパーチャージャー
最高出力:245kW(333PS)/エンジン+エレクトリックシステム:306kW(416PS)
最大トルク:440Nm(3000~5250rpm)/エンジン+エレクトリックシステム:590Nm(1250~4000rpm)
駆動方式:フロントエンジン後輪駆動
トランスミッション:8速ティプトロニックS(左・右ハンドル)
価格:14,980,000円

●ポルシェ カスタマーケアセンター  TEL0120-846-911

※『Nile’s NILE』2015年11月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

ラグジュアリーとは何か?

それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。