いい車はいい旅をつくる

静かな旅の始まりだった。ポルシェ カイエンS E-ハイブリッドは箱根へ向けも、まずはいつも通り、電気モーターで静かに走り出す。そして、ワインディングロードに入れば、一気にスポーティーな足を披露。軽快に力強く箱根の山道をぐんぐんと駆る。このクルマならではの多彩な走りを楽しみ、都心から約1時間半、箱根に到着。さらに静粛な雰囲気をまとう由緒ある地、強羅へ。ここには自然と完全に調和した静謐な宿、強羅花壇が待っている。

Photo TONY TANIUCHI Text Fumio Ogawa

静かな旅の始まりだった。ポルシェ カイエンS E-ハイブリッドは箱根へ向けも、まずはいつも通り、電気モーターで静かに走り出す。そして、ワインディングロードに入れば、一気にスポーティーな足を披露。軽快に力強く箱根の山道をぐんぐんと駆る。このクルマならではの多彩な走りを楽しみ、都心から約1時間半、箱根に到着。さらに静粛な雰囲気をまとう由緒ある地、強羅へ。ここには自然と完全に調和した静謐な宿、強羅花壇が待っている。

ポルシェ カイエンS E-ハイブリッド
2本の柱の上に冠木(かぶき)を貫き通し、檜皮葺(ひわだぶき)屋根をかけた冠木門はこの上なくシンプルな造り。無駄のない日本建築に、ポルシェ カイエンSE-ハイブリッドが清々とたたずむ。

都心から箱根までの道のりをポルシェ カイエンS E-ハイブリッドで静かに、スポーティーに、力強く走りながら、その言葉が意味しているところが端的にわかった。それは持続可能な移動手段という無味無臭の解だけではなく、クルマ本来の楽しみであるパフォーマンスも重視しているということなのだ。

ポルシェ カイエンS E-ハイブリッドと雨でぬれた石畳
雨でぬれた石畳の上にもスマートにとどまるカイエンS E-ハイブリッド。実に美しいこの姿は、すーっと静かに走り出す感覚を思い出す。ガソリンを1滴も使わずに36キロも走るこのクルマのすごさを実感する。

カイエンは余裕ある車体を持つプレミアムSUVである。5人の大人と荷物を積める能力と、あらゆる細部に至るまでの作りのよさと、シャープな印象が強いスタイリングを高く評価されている。加えて、電気モーターの長所を積極的に利用した環境対応車としての特長がある。

実際作りのいいシートに背中をあずけ、パワートレーンのスイッチを入れるとまず、電気モーターだけが始動する。そして外部充電式のプラグインハイブリッドシステムの恩恵により電気モーターだけで36キロもの航続距離を誇る。エンジンが動いても、高速走行などではコースティングといってエンジンとドライブトレーンが切り離される。最小限の燃料しか消費しないアイドリング状態のまま走らせることが可能だ。

エレクトリック走行モードは、単なる省エネのためのシステムではない。ガソリンやディーゼルといった内燃機関と違い、ゼロからいきなり最大トルクを発生する電気モーターの特性を生かし、加速時にも大きな働きをする。エンジンでの走行中アクセルペダルを強く踏み込むことで、スーパーチャージャーを備えた3リッターV型6気筒の力に加え、電気モーターが動いてトルクを上積みするのだ。ブースト機能とポルシェが呼ぶこの機能は異次元の、とつけ加えたくなる力強さである。

ハンドリングはスポーツカーメーカーのポルシェだけあって、安定していながらスポーティーだ。ステアリングホイールの切れ角には敏感に反応する。見事な気持ちよさだ。深く感心するのは、パワーと燃費経済性ともにドライバーに意識させずにクルマが使いわけてくれることだ。高級とはそういうものかもしれない。

  • 強羅花壇の柱廊 強羅花壇の柱廊
    強羅花壇の象徴でもある柱廊。ガラスに覆われた左右の扉は、全面開放できるため、四季を肌で感じることができる。周囲の景色や太陽の光など、時間の変化でさまざまな表情を見ることができる特別な空間だ。
  • 展望檜風呂付貴賓室の円形檜風呂 展望檜風呂付貴賓室の円形檜風呂
    展望檜風呂付貴賓室の直径約2mの円形檜風呂。夜はほのかな照明に包まれ、心行くまで湯あみを楽しめる。強羅花壇では3本の源泉を所有し、うち2本は庭園内より湧き出る自家源泉である。
  • 強羅花壇のフロント 強羅花壇のフロント
    門から玄関までの石畳を進み、ロビーに入ると、大きなガラス窓を通して見える強羅の深い緑に心が和む。山の斜面に立つ強羅花壇のフロントは、5階に位置しており、その眺望が見事である。
  • 強羅花壇の柱廊
  • 展望檜風呂付貴賓室の円形檜風呂
  • 強羅花壇のフロント

カイエンS E-ハイブリッドとどこか近いものを感じさせるといえば、箱根の高級旅館、強羅花壇が思いつく。箱根の景観に溶け込むように建物と自然の美しさをいつまでも維持する努力といい、宿泊客に提供される質の高いサービスといい、従業員みなが高い目的意識を共有していないと難しいだろうと思わせるものだ。こうした目に見えない価値は、世界的に有名なホテルレストラングループ「ルレ・エ・シャトー」のインスペクターがたまたま宿泊した際に、その目にとまり、直接、加盟を誘われたという事実にうなずける。

環境との共生を果たしている強羅花壇
強羅の自然に寄り添うように立ち、湧き出る温泉を利用して、環境との共生を果たしている強羅花壇。ここにパフォーマンスを追求しながらも、CO2排出量を抑制し効率的に走れるカイエンS E-ハイブリッドでまた来ようと思った。

ポルシェファンに高い満足を与えながら、先進的な環境性能を実現したカイエンSE -ハイブリッドも、この点で共通している。高邁(こうまい)な思想性が一台に凝縮されているからだ。今後も、強羅花壇のような全てにおいて高い質を誇る「ルレ・エ・シャトー」の日本旅館をポルシェのハイブリッドカーでめぐっていきたい。

カイエンS E-ハイブリッド
ボディー:全長4855×全幅1940×全高1710㎜
エンジン:3.0ℓ V型6気筒(4バルブ)スーパーチャージャー
最高出力:245kW(333PS)エンジン+エレクトリックシステム306kW(416PS)
最大トルク:440Nm(3000~5250rpm)エンジン+エレクトリックシステム590Nm(1250~4000rpm)
駆動方式:AWD
トランスミッション:8速ティプトロニックS
価格:11,990,000円

●ポルシェ カスタマーケアセンター TEL0120-846-911

※『Nile’s NILE』2016年10月号に掲載した記事をWEB用に編集し掲載しています

ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
サステナブル、SDGs、ESG……これらのタームが、生活の中に自然と溶け込みつつあります。持続可能な社会への意識を高めることが、個人にも、社会全体にも求められ、既に多くのブランドや企業が、こうしたスタンスを取り始めています。「NILE PORT」では、先進的な意識を持ったブランドや読者と価値観をシェアしながら、今という時代におけるラグジュアリーを捉え直し、再提示したいと考えています。