複雑さと匠の技が織りなす“時の愉しみ”

「時を愉しむ」をテーマに掲げるウォッチブランド「カンパノラ」。その中でも中軸的な存在である「グランドコンプリケーション」が、デビュー20周年を迎え、記念の2モデルが発表された。

Photo Takehiro Hiramatsu(digni)  Text Yasushi Matsuami

「時を愉しむ」をテーマに掲げるウォッチブランド「カンパノラ」。その中でも中軸的な存在である「グランドコンプリケーション」が、デビュー20周年を迎え、記念の2モデルが発表された。

カンパノラ/グランドコンプリケーション20周年記念限定モデル 蒼波(そうは)AH4086-13L
カンパノラ/グランドコンプリケーション20周年記念限定モデル 蒼波(そうは)AH4086-13L
クオーツ、ケース径43mm、SSケース×ワニ革(LWG認証※)ストラップ、日常生活防水、限定120本、特定店限定モデル、506,000円。

※LWG(レザーワーキンググループ)とは、レザーに関わるブランド、タンナー、薬剤メーカーの3者で構成される国際団体。環境への配慮や製造工程における安全性などを評価し、厳格な審査をクリアしたタンナーには認証が付与される。

「時を愉しむ」をテーマに掲げ、2000年にデビューしたウォッチブランド「カンパノラ」。最先端技術の一方、漆や蒔絵など伝統の匠の技を生かしたモデル、独創的なパーペチュアルカレンダーや精緻な天体表示機能のモデル、また「宙空の美」をコンセプトに、ガラスに遮られたわずかな空間に宇宙の壮大な景観を閉じ込めた立体感に富んだ文字板デザイン……これらによって「時を愉しむ」さまざまな形を提示してきた。

そんな「カンパノラ」の中でも中軸的な存在となってきたのが、「グランドコンプリケーション」である。チャイム音で時刻を知らせるミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー、クロノグラフ、ムーンフェイズの四つの複雑機能を搭載したものだ。
これだけの複雑機能を機械式で、となると製作も入手も困難を極める。それをクオーツで実現することで、複雑機能の奥深さや楽しさ、身につける満足感などが味わえるのが大きな魅力だ。この複雑機能ムーブメントを搭載したモデルが、スイスの時計製造拠点であるラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館の永久展示品指定を受けたことも、その完成度の高さを証明するものだろう。

「グランドコンプリケーション」が「カンパノラ」に初めて加わったのは2022年のこと。ちょうど20周年のアニバーサリーを迎え、これを記念する2モデルが届けられた。

一つは「皨⾬(ほしのあめ)」と命名されたAH4086・05E。漆塗りによる、文字どおり漆黒の文字板に金色粉を蒔くことで、深遠な宇宙空間に数々の星が瞬き、あたかも地表に降り注ぐかのような様子が表現された。
もう一つのモデルAH4086・13Lには「蒼波(そうは)」の名が与えられた。金属粉を練り込んだ青漆の文字板が、月明かりにきらめく神秘的な夜の大海原を想起させる。

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ラグジュアリーとは何か?

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それを問い直すことが、今、時代と向き合うことと同義語になってきました。今、地球規模での価値観の変容が進んでいます。
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